「さすがに俺らも警察の領分まで入れないんすけど」

「流夜たちを頼ればいいだろう。あいつらは向こう側だ」

天科の返事を聞いて、衛は盛大にため息をついた。わざとらしく。

場所は桜宮学園擁する城葉(きば)研究学園都市の中にあり、十三号棟と呼称される建物。

その一室を天科は私室として使っており、厳重な警戒の建物ながら、Pクラスの面々は顔パスで入ることが出来た。

今は衛、雅、流の天科押しかけいつものメンバーに加えて、紫と翠が押しかけていた。

Pクラス生が天科のもとを訪れることはよくあるので、天科も今では怒らない。

当初は――高校生になったはじめ頃は――よく怒鳴られていたが。

天科はさすが天科グループのトップなだけあっていつ来ても多忙だ。

――天科全。三十歳。城葉研究学園都市の中核を担う、学門に特化した天科グループ現総帥。桜宮学園の外部理事でもあり、またPクラスの全権を持っている。

そのため、現在のPクラスは、天科によって集められた生徒で構成されている。

「まあ流夜は学者先生だし、完全にあっち側ですけどね」

流が溜息をつきつつ答える。