調は机に頬をべったりつけて、げっそりしている。

今日の分のエネルギーは使い果たしたようだ。

「ああ……蒼ならやるね」

流は、蒼に同情的な眼差しを向ける。

感情の出にくい表情と怠惰な態度からダウナーだと思われがちな蒼だが、中等部時代は同学年から生徒会長を押し付けられ、現在は天科外部理事からPクラス統括を押し付けられ……という、責任ある立場になりやすい。

本人が進んでやっていることではないが、それを難なくこなしてしまう器量があり、またため息をつきつつも引き受けてしまう性格でもある。

「雪―……って、寝てるか。なんか情報持ってないかと思ったんだけど」

衛が声をかけた森崎雪は、今日も今日とて一番前の席で両腕を枕にして寝ている。

担任の華村浬は特に注意しない方針だった。

「衛―、これあげる」

「うん? なに」

調が机にへばりついたまま、机にさげている通学カバンからクリアファイルを取り出し衛に渡した。

受け取った衛は中の書類を見て眉をしかめた。

「……なんか物騒な単語並んでる書類なんだけど。どこで手に入れた?」

衛が少し声を低くして、だらける調を睥睨する。

「今朝天科サンに逢っちゃって渡された。蒼にあげてーって言われたんだけど、今受け付け中止って文字が浮かんでそうだから」

と、本当にそのオーラを出している蒼を見ながらいう。