その騒ぎを、図らずも聞いてしまった理事がいた。

たまに学内視察と称してうろついている天科全だった。

昨日――今朝、夜半過ぎに剣から連絡が入って、『雅と結婚することにしたから、邪魔しないでねー。あと学内で問題にしたらお前の素行ばらすからー』と脅された。

相変わらずかお前は。

ばらされて問題になる素行持っているのはお前の方だと言って置いた。

剣と祀木雅が、雅の親を通して顔見知りだと言うことだけは知っていたけど――まさか学生のうちに結婚とか言い出すか、あのバカは。

しかも一回り年下だし。

「天科理事?」

突っ立っているところを、声をかけられて振り返ると一年二組の担任の女性教師だった。

「ああ、すみません。邪魔してしまって」

「いいえ。Pクラスですか?」

「はい。どんなものかと見ていたんですが……今年のPクラスはアホばっかなんですかね」

自分で集めた人材だが。二組の担任は首を傾げた。

「成績は飛び抜けてる生徒ばかりなんですけどねえ」

「成績とバカとアホは並ぶものと知りました」

天科、容赦なかった。

全部セットで持っているPクラス生もいるし。

「そう言えば二年前――入学前に急に解体されたPクラスの生徒と、今年の子たちは似てるかもしれませんねえ」