雅は勿論、衛の気持ちに気づいている、いないに関わらず黙り込んだ。

……何言ってんだこいつ。

告白が恥ずかしくなって言えなかったにしても、方向が百八十度間違い過ぎだろ。

雅が絶叫した。

「――剣さんが危ないー! わかった衛。受けて立ってやる! 剣さんはお前にはやらん!」

「ちょ、ちょっと雅ちゃん! 事の問題は全然違って――

「衛なんかより私のが絶対剣さんすきだからね! 十年以上すきなんだからな!」

雅に受けて立たれてしまった所為で、衛はグサグサ傷をえぐられていく。

自分で爆弾落としているけど、さすがの蒼も、表情がなくなっていく衛が可哀想になってきた。

雪もはっきり起きて雅と衛を交互に見ている。

あまり見ない、好奇心に満ちた目をしている。

「――じょ、じょじょ上等じゃねえか!」

ああ、衛が退くに退けなくなっている……。

紫は、雅の制止のためにあげかけた手の行き場がなくなっている。

衛の気持ちを知らず、なんで反対し出したかわからなかった他のクラスメイトたちも、雅が剣を「私のが剣さんをすきだからな!」と宣言する度に顔色を悪くする衛の様子に、根本の想いに気づいた。

気づかないのは、Pクラスでは雅――と、ただひとり衛の発言を真正面から受け取ってしまい混乱している帝だけだった。







「……………………………」

アホなのか?