「お邪魔しまーす」

「帰れ」

在が城葉犯研の天科の私室のドアを開けると同時に声が返ってきた。

「いやです」

「お前とは昼間話しただろう」

にこやかに応じる在に、天科は苦虫を噛み潰した顔をする。

さっきもくそめんどくさい話が展開されていて、その収集をしたばかりの疲れが満ちているというのに。

「いいんですか? 組織の長がそんなカオ、生徒に見せて」

「……今になっても生徒通すのか」

「だって生徒ですから」

在は当然のように室内を真っ直ぐ進んで、机についている天科の真正面に立った。

「……あの脅しだけじゃ足りないか?」

「ええ。あれは一応、弟たちの手前抑えましたし。答え、聞く前に帰ることになっちゃいましたし」

「………」

天科にしか聞こえないように囁かれた。「猫柳恋と完全に縁を切る気だったんじゃないんですか?」と。