「え?」
「だって今日逢った人たちの中で、反対するのいねーし。あえていうなら天科全だけど、天科ではねーだろ?」
「違うけど……」
「ん。じゃ、いいや。尊、対戦しよ」
コタツテーブルに置かれたゲーム機を取って、尊の分を渡して来た。
兄の中では妹のコイワズライは解決してしまったようだ。
……『鯉患い』だと本気で思っていたらどうしよう。
「………」
背中にはいつもの重み。
生まれる前から――傍にある存在は、変わらない。
変ったのは、自分に初めて持つ感情が、出来てしまったこと。
帝よりも問題児だったらしい人。
……ずーっと頭から離れないのは、どうしよう。