恋は、元カレ以外と結婚など考えられないと言って、自分と蒼を引き取ることを決めたのだと、白から聞いていた。
恋にとっての天科全は、そこまで思わせる存在だったのか。
「……在お兄さんが一瞬怖かったって言ったら怒られるかな」
「あ、それは俺も怖かった。在兄さんと衛が実の兄弟じゃないとか、教えておいてほしかったし」
「それは帝くんの立場的に話してくれないと思うよ」
「衛を崇拝しているからか?」
「クラスメイトを崇拝するのは明らかにおかしいからね。学校でヘンな宗教始めないでよ? それに帝くんはただのストーカー気質」
「白にストーカーが現れたらどうなると思う?」
「破滅させてやる。わたしと翠ちゃんと蒼くんで」
「ストーカー死ぬな。一発で」
うん、と帝は神妙な顔で肯いた。尊はふんすと鼻をならす。
「当然だよ。雪くんにインフルエンザ的死に方をする薬でも調合してもらおうかな……」
「うん、取りあえずそれも犯罪側だから戻って来い?」
俺をストーカー扱いできなくなんぞ、と兄から投げやりな諌めが入った。
「ま。俺的には衛と義兄弟が近づいていい一日だったか」
今度の帝の声は浮かれている。尊
は衛の境遇を考えて、若干複雑だ。