「尊? 顔ヘンだぞー。どした」
双子のお気に入りの、三つの矢のマークのサイダーのペットボトルを二本持った帝が、ソファで横向きに膝を抱える尊の前に顔を見せた。
ボトルを一本、尊の顔の前で揺らす。
「ふぇ?」
「ん。ぼけーっとしてんな。疲れたか? 今日は色々……ありすぎたな」
片方を尊に渡して、帝は尊に背を向けて座った。
背中からプシュッと小気味いい音がした。
「ね。色々あったね」
尊もペットボトルのフタを開ける。
「な。……剣さんと比べられて傷付いてもいいと思うか?」
「え、……と、難しいね。どんなんだったんだろうね、剣さんの昔って」
今日いきなり知ってしまった、剣の過去。
穏やかでのんびりした剣の過去に、双子はそろって驚いていた。
「さすがに俺、補導されたことねーんだけど」
「ないままでいてほしいよ」
「恋さんと天科が付き合ってたってのも信じらんね」
「そこは信じるしかないでしょう。恋さん、女の子の顔してたよ?」
「え? 恋さんくらいになれば男の顔も女の顔も使い放題じゃね?」
「……それはないと思うよ」
使い放題ってどんな表現だ。