「いや、多分当時の天科の権力者が結んだものを、俺が天科乗っ取ったときに確認しなかったんだろう。今まで知らなかったし」
「………」
天科一族で何があったんだろう。
剣は、腐敗した中枢を刷新するために、傍系の天建全を養子にしたとか言っていたけど……天科、乗っ取られたんですって。人選ミスですわね。
「ふ――ざけないでいただけますか?」
「……なんだ?」
「あたしがどこまで悩んでいたと思うんですか!? おばあさまに言われ続けたのは『誰より早く相手の子を産みなさい』だけですよ? どこまで腐ってんのよ旧家!」
「そういうとこだったから俺が養子になったわけだが。茶山も当主の孫なら後継者の位置だろう。それなりの力は持ってるんだから、文句があるなら自分で変えればいいだろう」
「まともな話を歪んだあなたから聞くと喧嘩なんてしたことないあたしでもぶっ飛ばしたくなりますわ!」