「じゃあ、雅の誕生日までは付き合うってのは?」

「………つきあう?」

「うん。恋人になる? 雅さえよかったら」

「わ、私は全然全然いいですけど――恋さん、いいの……?」

「なんでレン?」

剣はきょとんとした。

「だって……すきなんじゃ、ないの?」

雅はずっと、剣は恋のことそ好きだと思っていた。

一緒に作家活動をして、喫茶店まで開くほどだ。

雅の質問に、剣は困ったな、と苦笑した。

「レンのこと? そりゃまあすきだけど、友達だし、ゼンと同じ感じだし……俺は男装趣味完璧にするようなヤツに恋情持てるほど変わった趣味してないし」

「……剣さんて時々ばっさりいくよね……」

「ばっさりいった結果、俺は雅にたどりついたんだけど?」

にこっと微笑まれた。

「………」

それを見た雅はうつむく。

「……それは」

「うん?」

「……私のお父さんへの贐(はなむけ)のつもりですか?」

「え? なんで?」

雅の言葉が意外だったのか、剣は本気で驚いた声だ。