「へえー。黒猫でなかなかのモフ具合だな。触ってない気がするくらいだなーこいつ」
神林翠が見分するみたいに見てくる。
「なんでハカセなの?」
今度は祀木雅が尋ねた。
「向こうで日本人の教授を呼んだ時に、「博士―」って呼んだら、ハカセが初めて鳴いたから。その名前が気に入ったのかなーて」
安易だった。ご主人は複雑な思考回路をしている分、単純な性格だった。
「ハカセー、おいでー」
手をちょこちょこ動かして呼んでいるのは、神林紫。
しかし、ハカセはもっと気になる方へ寄って行った。
「あれ? ハカセ、流くんすきなのかなー」
草賀尊が残念そうな声を出す。
すりよるハカセを、作樹流は優しい眼差しで見て、そっと撫でてきた。
「ハカセ、男がすきなのか」
榊原衛が呟くと、ご主人は「当り前じゃん」と答えた。
「え、猫界では当たり前なのか?」
草賀帝がアホみたいなことを言った。
「人間界でも一般的だと思うけど。ハカセ、メスだし」