「……いや」

「うん? なんだよ、言いなよ? 別に今更ゼンを嫌いになんてならないよ?」

「……ほんとか?」

「だって今、ゼンって最底辺だし。これ以上嫌いようがない」

「………」

全は黙り込んだ。奥で剣が吹きだしている。

あー、一番楽しかった頃のみんなだ。ずっと、この三人でいたいなー。恋の優しげな眼差しが語る願い。全はそれを受け取った。

「レン。……嫌いようがないなら言うけど」

「うん」

「………俺の仕事を手伝ってくれないか?」

「………え?」
 
恋は一気に目が覚めて瞬いた。

「天科の方の仕事だ。少し手が足りなくなってきててな。……書くのは全部ケンがやってんだろ? それ以外の余った暇な時間でいいから、手伝ってくれないか?」

「うん。やる」

「わー、即答」

真顔で肯いた恋に、剣が投げやりな感想を言った。