「帝……あんた衛くんに本当なにしたのよ」

「好意を隠さず追いかけた」

「怖っ」

弥もさすがに引いた。

「衛くんに迷惑かけんじゃないわよ? って言うかあんた、衛くんに近づくんじゃないわよ。あんたが怖いのもあるし衛くんが可哀想よ」

「! お姉さん!? そんなこと言ってくれんですか!?」

衛が勢いよく反応した。そこまではっきり帝に言う人はいなかった。やはり姉だからだろうか。

「衛。弥、いい人だろ?」

「うん。すっげえジレンマだわ。姉さんって呼びてえくらいだわ。でも帝の存在がアレだわ」

衛が言い切ると、そこここで吹き出された。

「あ、そろそろ撤収―。学校戻るぞー」

スマートフォンで時間を見た蒼が号令をかけた。クラスメイトたちの浮ついていた意識が学校に戻る。

「部活組は急げよ。調は雪を学校まで連れて行ってやってくれ。白は――」

蒼に出された指示に肯きながら、一人、またひとりと木造のカフェに目をやってから、そこを離れて行った。