「衛、さすがにうっさいんだけど」

文句をつけた蒼に、衛は涙目になって叫ぶ。

「だ、だって! 兄貴と帝の姉さんが結婚なんてしたら……俺が帝と親戚になっちまうじぇねえか!」

「そこかよ。気ぃ早ぇよ」

蒼が言うが、衛はちっとも聞いちゃいない。ガクガク震えだしてしまった。

がしりと、在の手を帝が握った。

「ぜひ在お兄さんと呼ばせてください!」

帝の瞳がキラッキラしていた。純粋過ぎるキラキラ。本気だ。

「帝、気が早くない?」

在は穏やかに返す。

「兄貴! なんで帝の姉さんに惚れたの!」

「弥だから」

「総てを包括しちまう答えさらっと言うなよ! 兄貴ほんとは最強の人だな!」

弟、今頃兄の最強加減に気づいたのか……三兄妹と帝以外の傍観者は同じ感想を持った。

「衛は反対なの?」

在が淋しそうな瞳で問う。

「帝が嫌なだけだよ! あ、だからって兄貴の離籍とかは赦さねえからな!」

「お前も事を大きく考え過ぎだね」

そんなことしないよ。と、在が今度は衛の頭を撫でると、衛がやっと落ち着いた。

お前もか……三兄妹と帝以外の傍観者の感想も一緒だった。この一派は総じてブラコンなのか。