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結局、天科から謝罪らしきものは聞きだせなかった。
……と言うか、恋が一方的に喋って一方的に触りまくってそれを天科が怒ってという状態が延々繰り返されて、話は一つも進展しなかった。
……保護者がこんなに残念な変態だとは思っていなかった蒼、若干ショックだった。
自分が恋から白を護らねば? と思うほどに。
挙句の果てには剣に、「こいつらはもう放っておきな。いい影響なんて一つもないよ」と言われて、同時に肯いた十三人だった。
……学校、戻るか。蒼がそう言うと、首肯が返された。
なんかもう、天科とか実験とかどうでもいいわ。
「――兄貴?」
衛が最初にフロムムーンを出ると、桜学の制服の青年が戸口の脇にいた。
「よ。お疲れ」
軽く手を挙げるのは、榊原在だった。
「在兄!?」
衛の声を聞いた翠が飛び出て来て、在に抱き付いた。在は軽く笑って受け止める。
「なに。どーしたよ。同じ学校なんだから珍しくもないだろ」
「在兄、校舎違うから滅多に逢えないじゃん」
翠は不満げな様子で見上げている。在はやはり笑顔で受ける。
「そんくらいは仕方ないだろ」
「衛は家帰ればいつでも在兄に逢えるのにー」
「翠、痛い。腕」
翠は在の腕をギリギリと握りしめていた。
それも笑顔でかわす在のことを知らないクラスメイトは、不思議そうに二人を見ている。