「まあ、そうだな。当時は、Pクラス自体を終わらせるつもりだった。が、全権を手にしてみればこれほど面白いものもないよな、と思い直したわけだ。少し色々実験しようと思った」
『目論んでじゃねえか!(ないですか!)』
「つったってなあ……別にこれといってやりたいことがあるわけじゃないけど、思いついたら試してみたい、程度のもんだぞ?」
「それでクラス一つ、作ったり壊したり出来るんだ……」
蒼ざめた声は流だった。Pクラスの常識人は色々大変だ。
「そう突っかかってくるなら、今から全員他クラスに割り振ることも出来るぞ?」
『――――………』
天科の言葉には、全員が黙り込んだ。天科は何かをわかっているように口元を歪めた。
「どうだ? このクラスは『ハズレ』だと思うか?」
……悔しいことに、反論の言葉は誰にも存在しなかった。
『…………』
誰からも返す言葉がなく、なんだかふわふわした『いい雰囲気』が漂い始めたところで、柔らかさを添えるように猫の鈴のドアベルが鳴った。その人物は『柔らかさ』とは無縁だった。
「ケンー? 来てるのかー?」
びくうっと大袈裟に天科の肩が跳ねた。
あ、と十三人、同じ顔をした。続いてにやりとする。
「え、……ゼン?」
天科の『元カノ』のおでましだった。