「言うなって? 言うに決まってんじゃん。レン立ち直らせたお礼とか言ってもらいたいくらいだねー」

「男装に走らせた原因はお前だろう」

「そんくらいじゃないとレンの傷が癒えなかったんだよ」

「――お前のせいで怪我ばっかさせられたのは俺だって忘れてねえだろうなヤンキー!」

………は?

またもや十三人、呆気にとられた。天科の言葉遣いがいきなり変わったのもびっくりしたし、最後の一言はなんだ?

「剣さんが? ヤンキー?」

流が疑問符を投げた。

「うん? まあねー。ちょーっと優秀過ぎる幼馴染がいてね? その反動でグレちゃったってハナシ」

えー…………。ドン引きのPクラス。

この柔らか穏やかな剣が? 天科は開き直ったのか、足を組んで眉間に皺を刻んだ。

「グレた程度じゃねえだろ。暴走族だのチンピラだのに喧嘩売って単身で乗り込みやがって。何度助けに行かされたと思ってんだドアホ」

………ええー。もうどこからツッコんだらいいのかわからない十三人。

剣と天科が顔見知りだったというだけで十分驚きなのに、天科は恋の元カレで剣は元ヤン。

……どうしよう。色々とどうしよう。

「いやー、何度も助けにきてもらったねー。おかげでゼンも腕っぷし、強くなったんだからいいじゃん?」

「おかげで警察の内部と顔見知りにまでなったけどな」

天科は吐き捨てるように言った。警察内部って……。

そこここで困った視線が彷徨っている。