「………お前たち」

「はい?」

「呼び出すのはまあ許すが、なんでここなんだ」

「え、俺ら的に邪魔されない空間ってここなんで」

天科はあからさまにため息をついた。なんだろう、コーヒーのにおいアレルギーでもあるのか? 場所はもちろん、《From Moon》だ。

「悪いが戻る。話は明日、別の場所で

「あ、みんなだ。早いねー」

「剣さん」

天科の声に割って入ったのは、剣だった。

剣の執筆のため現在休業中の『From Moon』だが、蒼が連絡して場所を提供してもらっていた。

電話をかけたところ、「行き詰まってる……」と沈んだ声で応答があり、「息抜きに俺も行っていい?」ということで、剣もやってきた。

ちなみに剣も恋と同じマンションの住人だった。

「込み入った話するんだっけ?」

問われて、衛が答える。

「はい。けど――

がし。

「逃がさねえよ? ゼン」

…………え?

剣が天科の肩を摑んでにっこり笑った。天科が顔を引きつらせている。

………蒼たち、色々と意味がわからず目が点になった。