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「それ、何枚?」

「九十九枚」

「的確な嫌がらせだな」

「ほんとは一行で済むのをがんばってここまで太らせた」

「頑張る方向おかしいな」

衛は深く肯いた。朝の教室。順々に集まってくるクラスメイト。衛は蒼の机に軽く腰をかけた形で話していた。ダブルクリップでとめた紙束を手にした蒼が、衛に問いかける。

「そっちは? 何かあった?」

すると、衛が真面目な顔をした。

「うん。……俺、雅のこと好きだわ」

「そうか。よかったな」

蒼はいつもの調子で応える。コイバナには興味のない蒼だ。

「……相っ変わらず反応薄いなー」

「そういうネタはどうでもいい」

「その上バッサリかよ。ま、そういうわけで俺、雅のこと遠慮なしにいくから」

「周りははばかれよ」

適当な口調で釘をさすと、衛がちらちら見てくる。

「……なんで好きになったとか訊かねーの?」

「あ? 訊かれてえのかよ」

「少しはキョーミ持ってほしいじゃん」

「あー、はいはい。どこが好きなんだ? 衛のために訊いてやろう」

蒼の態度は偉そうだった。衛は平坦な瞳をする。