「そうだよー。本当はもう一人も含めてのペンネームなんだけどね? 今は俺とレンの二人。レンがネタ作って、俺が文章にしてんの。ここが不定休なのは、締め切りとかで毎日は開けてられないからなんだよ。締め切り間際とか、俺がいっぱいいっぱいになるから二週間とかお休みしちゃったりねー」

「知らなかったっす。今度読んでみます」

「うん、ありがと。最初の本持ってこようか?」

【わたし持ってますよ! 貸しますよ!】

「……白は、天霧猫がすきなの?」

やたら興奮した顔で手帳を見せて来たので訊いてみた。

【大すき!】

「嬉しいねー。白みたいに素直に褒めてもらえるとねー」

剣はいつものふわふわした笑顔だ。恋と二人で小説家……知らなかった。

「あの、恋に彼氏いたって最近聞いたんですけど」

「そっか。レン話したんだー」

「剣さんと恋は同級だったんですよね?」

「そうだよ」

「……剣さんと恋って、なんなんですか?」

「え? 友達」

さらっと返された。全くよどみのない声と表情で。

「あ、もしかして付き合ってるとか、そういう可能性の話?」

「……ふつー疑るでしょう」

蒼がじとっとした瞳で見ると、剣は軽く笑った。