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From Moonは恋のマンションの目の前だった。恋のいるマンション自体が郊外にあると言うべきか。
なので、白は毎晩恋を迎えに行っているそうだ。
それを聞いた蒼も、恋のところに住むようになってから白と一緒に向かっている。
「レン? ……今日はちょっと出てくるの遅いかもー」
迎えに来た二人に、店じまいをしていた剣が、店の奥に繋がる通路を見て少し困ったように答えた。
「何かしてるんすか?」
「ネタ出し」
「……は?」
「レンが元ネタ作ってくんないと、俺なんも書けないからさー。所詮天霧猫(あまぎり ねこ)一人じゃ無理なんだよねー」
剣はぶつくさぼやきながら調理器具や材料の戸棚に鍵をかけている。
「あの……意味がよくわからないんですが……」
「あ。蒼には言ってなかったかな? 俺とレンね、本業作家さんなんだよ」
「……作家?」
【天霧猫さんだよ。あおいくんは小説とか読まない?】
白にも訊かれて、蒼は頭の中にその文字を探した。あ。
「本屋で見かけたことはあるっす。天霧猫。え、恋と剣さんなんですか?」
From Moonは恋のマンションの目の前だった。恋のいるマンション自体が郊外にあると言うべきか。
なので、白は毎晩恋を迎えに行っているそうだ。
それを聞いた蒼も、恋のところに住むようになってから白と一緒に向かっている。
「レン? ……今日はちょっと出てくるの遅いかもー」
迎えに来た二人に、店じまいをしていた剣が、店の奥に繋がる通路を見て少し困ったように答えた。
「何かしてるんすか?」
「ネタ出し」
「……は?」
「レンが元ネタ作ってくんないと、俺なんも書けないからさー。所詮天霧猫(あまぎり ねこ)一人じゃ無理なんだよねー」
剣はぶつくさぼやきながら調理器具や材料の戸棚に鍵をかけている。
「あの……意味がよくわからないんですが……」
「あ。蒼には言ってなかったかな? 俺とレンね、本業作家さんなんだよ」
「……作家?」
【天霧猫さんだよ。あおいくんは小説とか読まない?】
白にも訊かれて、蒼は頭の中にその文字を探した。あ。
「本屋で見かけたことはあるっす。天霧猫。え、恋と剣さんなんですか?」