【ううん。二人も一緒にごはんとかしてかなくてよかったの?】
「気にする事ねえよ。あいつらの食事は健康食過ぎて味がしねえ」
白は意味がわからなかったようで首を傾げる。
「……紫の事務所に栄養管理士もいて、その指示で翠がメシ作ってるんだよ。紫はもう事務所の看板だからな。外食もたまにならいいんだろうが、基本翠のメシにしてんだよ」
白は大きな目を更に丸くする。
【モデルさんって大変なんだねえ】
「紫は小五からやってるから、もう苦ではねえだろ。……初めてあいつが選んだ道だし」
兄が決定理由の紫が選んだ道。上々だと蒼は思う。翠が一緒にいてくれる安心もあるし、仕事場では流も一緒だ。
「………」
なんで紫があそこまで流を嫌がるのかはわからないけど、流は本当に純な奴だと思う。珍しいくらいに。
「白。晩飯何にする?」
【カルボナーラかな? つるぎさんに教えてもらったの】
「剣さん直伝なら美味いな」
一緒に暮らし始めてまだひと月もないけど、白と一緒に家事をするのが蒼の新しい当たり前になっていた。