今日は仕事のない紫と、まだ新入生の仮入部期間でもないため部活にも出られない翠は、部活に顔を出しただけして当然のように蒼と一緒に恋のマンションへ帰って来た。
途中で紫が、尊と帝と一緒にいた白を見つけて、白と四人で帰路についた。
コンコンと、シャーペンとは別の音がした。蒼が「はい」と応えると、器用に片手に盆を載せた白が入って来た。お茶のポットとグラスが載っている。
「ああ、悪いな、白」
「白ちゃんありがとうー。ごめんね、気づかないで」
白は微笑みながら首を横に振った。翠が盆を受け取る。そのまま出て行こうとしたのを、蒼が呼び止めた。
「白? こいつら勝手にいるから、白もいたら?」
「そーだよ白。蒼、ろくに話してくんねーだもん。女の子いた方が華あるし」
【超絶キラキラなゆかりちゃんがいるよ?】
「そら紫はキラキラの塊だけどさ、まあ、取りあえずまざろーぜ」
翠が強引に白の腕を引いて座らせた。白は落ち着かない様子で正座している。
「白ちゃんってふわふわしてて可愛いよね。真っ白い子猫みたい。撫でたくなるなー」
と、白の頭をヨシヨシする感じで撫でまわす紫。白はくすぐったそうな顔でされるがままだ。
「白、蒼と暮らしてて問題あったらすぐにあたしらに言えよ? いつでも乗り込んでくるから」
翠に言われて、白は苦笑する。さきほど取り出した手帳は手にしたままだ。翠が続ける。
「蒼も、料理とか洗濯ってやってるか?」
白は手帳に書き出した。
【やってくれてるよ。恋さんより上手いよ】
「恋の家事能力のなさと比べるな。白がどんだけ負担になってたか、よくわかった。俺こっち来てよかったって初めて思ったわ」