実技試験の一つを終わらせた俺は別会場、すなわちバトルロイヤル型の戦闘試験の会場である学校の敷地内の森林に向かっていた。

「「ちょっといいかな」」
「ん?」

後ろから声をかけて来たのは、前の試験で圧倒的な実力を見せたエウルア・ウィンドブルクとシュルク・ラインだった。

「なんだ?」
「君は何処からの出身だい?」

シュルクがそう聞いて来た。

「別に、ど田舎からだよ。君たちとは違って平民だ」

そう言い残して振り返って俺は歩き始めた。
混合魔術を教えろとか言われてもめんどくさいだけなので、そういう面倒ごとはごめん被る。

「嘘をつかないで。貴方の魔法は平民の物とは思えない」

今度はエウルアがそう言って来た。
てか着いてくるな。

「うるさいな〜。俺がそんな魔法使っちゃ悪いか?」

聞き流して俺はそう答える。
確かにコイツらは優秀だが、それ以上でも以下でもない。
あの魔法はコイツらに上には上がいる事を教えただけだ。
俺はポケットに両手を突っ込み歩いていく。

それでも二人は話しかけてくるが、全部無視だ。

誰に教わったかだとか、私にも教えろだとか。
正直言ってめんどくさい。
まぁ、上を認めてプライドを捨てて教えてもらおうとすることは悪くないことだ。
その点は認める。

しかし、まぁコイツらは口が減らないな。
周りから注目を浴びていることを無視して話しかけ続けている。
しょうがない、ヒントくらいはやるか。

「同時に二つの術式を構築して、術式を合成すればいいんだよいいんだよ」

あとはノーヒントだ。
まぁ、混合魔術なんか俺が作ったんだけど、10歳の時に。

「二つの術式って、、そんなの難しすぎるね………」

確かに高度な技術は使う。
だけど俺という混合魔術を成功させた張本人がいるんだからな、出来ないことはない。

「はぁ……下級魔法の合成から練習しろ」

と伝えた時、遂に目的地に到着した。


「ここが………会場か……」

その森林は全て巨大な木々だった。
おそらく特殊な魔力を吸収させた木々なのだろう、異様な曲がり方をしている。

「バトルロイヤル型の試験か……楽しみだね」

シュルクは思わず口に出たようだ。

「まぁ、そこは同意する」

戦闘試験なんてワクワクしてしまうな。
俺たちは集合場所へと向かった。


……………
…………
………





「では最終試験のルールを説明させてもらう!」

簡易的な台の上で全員が集まったのを確認して、大声で試験官が言う。

「まず、この森林の中で戦闘試験を行う。お前らも分かる通り森は結界に囲まれている。そこから出た者は失格だ、その場で脱落。また、戦闘するに当たって、致命傷を与えられても失格だ。無傷で結界外のこの場に問答無用で転送される」

なるほど。
つまりは、森の外側に貼られている結界の外の出てしまったら失格か。
そして、敵に致命傷を当てられても失格か。

「試験は残り人数が20人になるまで続ける。敵を撃破した際には撃破ポイントが付く。失格になってもその撃破ポイントは減ることはない。つまりは、この試験の趣旨はどれだけ敵を倒せるかにある!」

簡単にすると倒しまくればいいって話か、簡単じゃないか。
敵に致命傷を与えて、結界外に送りつけてやればいいのか。
簡単な話じゃないか。
結界内は半径1キロ、その中に1000人を超える受験者全員での超乱闘か。
面白そうじゃないか。

「森に入り、戦闘体制を整える非戦闘時間として3分与える。笛が鳴ったら森に入れ。はじめの合図はアナウンスで行う」

そう試験官が告げるとピィーー!と甲高い笛の音が鳴る。
準備時間の始まりだ。

俺を含む受験者達は一斉に森へ入った。