退屈なだけだったペーパーテストが終わって、いよいよ実技試験だ。
周りの人間は揃いも揃って憂鬱な表情だ。
コイツらにとっては難しかったみたいだ。
「受験者は次の試験会場に向かってください
魔法でのアナウンスが聞こえて来る。
次の実技試験は、大きく二つの試験に分かれる。
魔術の技能を測る試験とバトルロイヤル型の実践型の試験だ。
今から行う試験は魔術の技能を測る試験。
果たしてどのような議題が出るのだろうか。
「まぁ、なんとかなるか」
俺は試験会場へと移動を開始した。
次に訪れた試験会場はとてつもなく広い校庭だった。
平原には的がいくつかたてられており、おそらく魔術の試し打ちの練習場だろう。
大体、術者が魔法を打ち出す場から的まで50mか。
ぬるいな。
術を打ち出す場に受験者は受験番号順にならばされた。
テント下には術を出すための杖や魔道具が置かれていた。
「では、受験者諸君。あの数十メートル先の的に君達の魔法をぶつけなさい。テント下にある魔道具や杖を使ってくれてもいいし、何も使わないのも構わない」
試験官の声を合図に受験者達は動き出す。
もちろん俺は道具を使わずに手から魔法を打ち出す。
杖ならまだいいが、魔道具に頼る者を魔術師とは認められない。
魔道具には前もって魔術式が埋め込まれており、魔力を流すだけで魔法が発動できる優れものだが、それに頼るということはまさしく、自身では術式を組み立てできないと意思表示しているようなことだ。
つまりは、術式を使えないから魔道具を使っているのだ。
しかも、勝手に魔力を流すだけで魔法が発動するということは、魔法に不可欠なコントロールと魔法の鮮明なイメージをしないわけだ。
この頃からこの魔道具に頼り切っているこの受験者達には魔法が上達する未来はない。
杖は魔力を集中させる為の道具だから、もちろん術者の術式には当然関与はしない。
つまり、純粋な実力を持つ者は魔道具なしであの的に魔法を命中させられるのだ。
これはこの入学試験の明暗を分ける試験だな。
しばらくするとと他の受験者達は準備を終えたようだった。
ふむ、大多数が魔道具を使うようだな。
10人くらいは杖や道具無しで魔法を撃てるそれなりの奴らがいるようだ。
試験官は準備を終えたのを確認して口を開く。
「ではこの試験の主旨を説明する。今回の試験は、純粋に受験者の魔法の威力、魔力コントロール力を検査するものとなっている」
魔法の威力の検査ね……。
自身で魔力を魔力をコントロールできない魔道具頼りの奴等は、そこまで威力を出せないだろう。
魔道具はどれだけ込めようが、最初に設定された術式を超える威力を出せない。
しかも、俺が術式を
つまりは、魔道具を選んでる者達が多いこの試験では、その威力が平均点となるわけだ。
例えば60しか威力を出せない魔道具を扱う魔術師がが90人、それ以上の威力を出せる魔術師が10人とすると、必然的に60に近い威力が平均の威力になるのは分かるだろう。
おそらく、この試験の本当の意味は、魔法ができる者の選別だろう。
「試験の的は絶対に壊れないので、皆さん全身全霊で魔法を打ち込んでください」
絶対に壊れないねぇ………。
そう聞くとぶっ壊したくなってくるじゃないか。
まぁ、まずは様子見するか。
コイツらの実力査定と行こうか。
「さて、準備のできた者から前に出て来い」
「じゃあ俺が行こう」
試験官の言葉にいち早く手を上げたのは、燃えるようなベージュの髪と紅く真紅の炎のような目をしている美男子だ。
胸にはドラゴンの紋章。
貴族出だろう。
「おい見ろ!ライン家のシュルクだぜ」
「あの炎魔法で有名な?マジかよ、この目でやつの魔法が見えるとは」
周りが騒がしくなって来た。
かなりの有名人らしい。
「受験番号は?」
「4番です」
「よろしい、では始めろ」
魔力コントロールが出来ている。
周りの人間に自身の魔力量を錯覚させているのか。
結構いい奴いるじゃん。
魔術師の本質はどれだけ敵を欺けるかだからな。
師匠の話によると、このエトワール魔術学院は国中からエリート達が集まってくるそうだが、コイツはかなり強いだろうよ。
シュルクは指定された地に立って、手を前に突き出す。
「では、はじめっ!!」
「大狂火炎!!」
シュルクは大きく手を突き出して、灼熱の炎を放つ。
へぇ……。
上級魔法か。
魔法は全てで8段階に分かれている。
下から下級、中級、上級、特級、王級、賢王級、神級、禁呪となっている。
その中でも属性によって分けられてはいるが、大賢者でも神級以上は扱えるか怪しいレベルの魔法だ。
下級、中級は鍛錬すれば扱えるようになるが、上級魔法以降は才能との相談と言われている。
一気に難易度が上がるのだ。
本来、入学試験を受けるような受験者に扱えていい魔法ではないのだ。
シュルクの放った魔法は蛇、いや、生きている竜のように的へと伸びていき、大爆発を起こす。
バゴォォン!!!
一瞬で平原は焼け野原へと変貌する。
的は大きく破損していた。
「「「え?…………」」」
試験官を含み、会場がどよめく。
そりゃそうだ。
上級魔法なんて扱える者も少ない滅多に立ち会えない魔法だからな。
「まさか………的が破壊されるとは………さすがだ」
試験官もこの表情。
プークスクス。
いい顔してるなぁ。
「いえいえ、まだまだですよ」
片手を振りながら謙遜するシュルク。
「それに僕レベルの魔術師はこの場に数名居るようですよ?」
え?
なんかすっごいこっち見て来た気がする。
というより、自分レベルの魔術師が数人いるのに気づいているだけで及第点だ。
この試験も面白くなって来たな。
俺はニヤニヤが抑えられなかった、
周りの人間は揃いも揃って憂鬱な表情だ。
コイツらにとっては難しかったみたいだ。
「受験者は次の試験会場に向かってください
魔法でのアナウンスが聞こえて来る。
次の実技試験は、大きく二つの試験に分かれる。
魔術の技能を測る試験とバトルロイヤル型の実践型の試験だ。
今から行う試験は魔術の技能を測る試験。
果たしてどのような議題が出るのだろうか。
「まぁ、なんとかなるか」
俺は試験会場へと移動を開始した。
次に訪れた試験会場はとてつもなく広い校庭だった。
平原には的がいくつかたてられており、おそらく魔術の試し打ちの練習場だろう。
大体、術者が魔法を打ち出す場から的まで50mか。
ぬるいな。
術を打ち出す場に受験者は受験番号順にならばされた。
テント下には術を出すための杖や魔道具が置かれていた。
「では、受験者諸君。あの数十メートル先の的に君達の魔法をぶつけなさい。テント下にある魔道具や杖を使ってくれてもいいし、何も使わないのも構わない」
試験官の声を合図に受験者達は動き出す。
もちろん俺は道具を使わずに手から魔法を打ち出す。
杖ならまだいいが、魔道具に頼る者を魔術師とは認められない。
魔道具には前もって魔術式が埋め込まれており、魔力を流すだけで魔法が発動できる優れものだが、それに頼るということはまさしく、自身では術式を組み立てできないと意思表示しているようなことだ。
つまりは、術式を使えないから魔道具を使っているのだ。
しかも、勝手に魔力を流すだけで魔法が発動するということは、魔法に不可欠なコントロールと魔法の鮮明なイメージをしないわけだ。
この頃からこの魔道具に頼り切っているこの受験者達には魔法が上達する未来はない。
杖は魔力を集中させる為の道具だから、もちろん術者の術式には当然関与はしない。
つまり、純粋な実力を持つ者は魔道具なしであの的に魔法を命中させられるのだ。
これはこの入学試験の明暗を分ける試験だな。
しばらくするとと他の受験者達は準備を終えたようだった。
ふむ、大多数が魔道具を使うようだな。
10人くらいは杖や道具無しで魔法を撃てるそれなりの奴らがいるようだ。
試験官は準備を終えたのを確認して口を開く。
「ではこの試験の主旨を説明する。今回の試験は、純粋に受験者の魔法の威力、魔力コントロール力を検査するものとなっている」
魔法の威力の検査ね……。
自身で魔力を魔力をコントロールできない魔道具頼りの奴等は、そこまで威力を出せないだろう。
魔道具はどれだけ込めようが、最初に設定された術式を超える威力を出せない。
しかも、俺が術式を
つまりは、魔道具を選んでる者達が多いこの試験では、その威力が平均点となるわけだ。
例えば60しか威力を出せない魔道具を扱う魔術師がが90人、それ以上の威力を出せる魔術師が10人とすると、必然的に60に近い威力が平均の威力になるのは分かるだろう。
おそらく、この試験の本当の意味は、魔法ができる者の選別だろう。
「試験の的は絶対に壊れないので、皆さん全身全霊で魔法を打ち込んでください」
絶対に壊れないねぇ………。
そう聞くとぶっ壊したくなってくるじゃないか。
まぁ、まずは様子見するか。
コイツらの実力査定と行こうか。
「さて、準備のできた者から前に出て来い」
「じゃあ俺が行こう」
試験官の言葉にいち早く手を上げたのは、燃えるようなベージュの髪と紅く真紅の炎のような目をしている美男子だ。
胸にはドラゴンの紋章。
貴族出だろう。
「おい見ろ!ライン家のシュルクだぜ」
「あの炎魔法で有名な?マジかよ、この目でやつの魔法が見えるとは」
周りが騒がしくなって来た。
かなりの有名人らしい。
「受験番号は?」
「4番です」
「よろしい、では始めろ」
魔力コントロールが出来ている。
周りの人間に自身の魔力量を錯覚させているのか。
結構いい奴いるじゃん。
魔術師の本質はどれだけ敵を欺けるかだからな。
師匠の話によると、このエトワール魔術学院は国中からエリート達が集まってくるそうだが、コイツはかなり強いだろうよ。
シュルクは指定された地に立って、手を前に突き出す。
「では、はじめっ!!」
「大狂火炎!!」
シュルクは大きく手を突き出して、灼熱の炎を放つ。
へぇ……。
上級魔法か。
魔法は全てで8段階に分かれている。
下から下級、中級、上級、特級、王級、賢王級、神級、禁呪となっている。
その中でも属性によって分けられてはいるが、大賢者でも神級以上は扱えるか怪しいレベルの魔法だ。
下級、中級は鍛錬すれば扱えるようになるが、上級魔法以降は才能との相談と言われている。
一気に難易度が上がるのだ。
本来、入学試験を受けるような受験者に扱えていい魔法ではないのだ。
シュルクの放った魔法は蛇、いや、生きている竜のように的へと伸びていき、大爆発を起こす。
バゴォォン!!!
一瞬で平原は焼け野原へと変貌する。
的は大きく破損していた。
「「「え?…………」」」
試験官を含み、会場がどよめく。
そりゃそうだ。
上級魔法なんて扱える者も少ない滅多に立ち会えない魔法だからな。
「まさか………的が破壊されるとは………さすがだ」
試験官もこの表情。
プークスクス。
いい顔してるなぁ。
「いえいえ、まだまだですよ」
片手を振りながら謙遜するシュルク。
「それに僕レベルの魔術師はこの場に数名居るようですよ?」
え?
なんかすっごいこっち見て来た気がする。
というより、自分レベルの魔術師が数人いるのに気づいているだけで及第点だ。
この試験も面白くなって来たな。
俺はニヤニヤが抑えられなかった、