「おはよう、美紗、亜里香!」

「「おはよ、世羅。」」

「麗羅もおはよ、」

いつも通りの朝、いつも通りの友達。

「それより!誕生日でしょ!おめでとう!ほら、誕プレ!」

「うわあ!麗羅、ありがとう!自分の誕生日忘れかけてた!」

「昨日、大変だったんでしょ?はい、うちからも。」

美紗から事情を聴いていた世羅が言う。

亜里香は、昨日起きたことが信じられないような普通の朝だなあと思った。

だが…

「失礼します。相良 亜里香さんいますか。」

と、この学校の生徒ではない男子が呼びに来た。

「なんの御用でs…あなたは!昨日の!」

亜里香を呼んだ男の隣には、昨日のイケメンがいた。

「昨日の話の続き、していいか?」

「あの…すみません。またまた失礼します!」

亜里香は廊下を走った。

階段を下りたときに瞬間移動すればいい、と思ったのも束の間、

反対側からも護衛らしき人たちが走ってくる。

亜里香は考える時間もなく、瞬間移動し、女子トイレに逃げ込んだ。

「どうした?彼女は?」

雄輝は護衛のものに尋ねた。

「あの・・・それが…」

護衛が恐る恐るしゃべる。

「なんだ?」

「あのですね、わたくし共が両脇から挟み込もうとしたのまではよかったのですが…」

「だが?」

「わたくし共にもわからないのですが…消えてしまったのです!」

「は?」

雄輝には意味が分からなかった。

あやかしでもないのに、消えてしまうのはあり得ない。

「見失っただけではないのか?昨日もまかれたから、足が速いんじゃないのか?」

雄輝は怪訝そうに尋ねた。

「いえ、目の前で消えたのですよ。」

「そんなことあり得るか?」

「雄輝様、問い詰められても何も変わりません。この者たちはあり得たからこのようなことを申すのでしょうから。」

楠本が雄輝を落ち着かせた。

「まずは、彼女の友人たちに話を聞くのが良いでしょう。」

「そう、だな。行くか。どこへ行ったのか、推測してくれるかもしれない。」

そう言って、亜里香のクラスへと向かった。