「ぼく、まめたと遊んでもいーい?」

隼人くんは大塚さんを見上げて言う。 大塚さんは、振り返って視線を下げる。

「……ああ、遊んでやってくれ」

大塚さんは少しぶっきらぼうに、だけど優しく言うとそのまま玄関に入った。

「隼人、すぐそこで遊んでるんだよ」

「うん! まめた、行こっ」

隼人くんが縁側の方に走って行くと、まめ太は尻尾を振って軽やかな足取りでその後を追いかけて行く。

「お邪魔します」

玄関を入ってすぐに、廊下がまっすぐ伸びていた。 田辺は私たちを横切って廊下へと上がると「こっち」と言って左側にある引き戸が開いたままの場所へ入っていく。

その後をついて行くと、そこは茶の間で、大塚さんが座ってお茶の準備をしてくれているようだった。

「適当に座んな」

「は、はい」

私は快人くんとともに大塚さんの正面に座る。 茶の間の左側には縁側があって、ここから隼人くんとまめ太が遊んでいる様子が見えた。 

「……ジュースとか、そういう気が利いたのは無くてな」

「あっ、いえ、お構いなく……」

大塚さんは湯気の立つ湯呑みをふたつ私と快人くんに出してくれる。 いただきます、と私が言うと、隣で快人くんも小さな声でそう言った。 隣を見ると、快人くんはさっきよりも緊張した面持ちだった。

「あっちいからな、気を付けろ」

大塚さんは言いながら、視線を縁側へと向ける。