俺は、その場でステータスバーを開く。


____________

【古代召喚】
四千年前の古代を生きた者の魂を実体とともに、現代に復活召喚させ、従わせる。
 また、そのスキルと同等の能力を得る。

(利用可能能力)
・龍の神力 レベル4/5
・錬金術 レベル5/5(MAX……進化能力あり)
・調味料生成 レベル3/5
・罠作成 レベル1/5
・剣士の『気』 レベル4/5
・獣王の猛り レベル2/5…… 伝説の猛獣・赤虎の瞬発的な剛力を手にする。

 領主ポイント 5000/5000

次回、求める英霊を確定で召喚!

____________

そう、次なる召喚ポイントは溜まりきっていたのだ。

そして、5000ポイントの区切りということもあろう。まさかの確定召喚である。

古代文明の再現というはるかな理想のため、可能ならば船大工などの召喚に当てようと思っていたが…………

目の前で困っている子がいるのを見捨ててはおけない。

俺はその場で召喚を発動する。

もちろん、召喚を願ったのは、稀代のヒーラー。
理想を言えば欠けた腕すらも治してしまえるような、圧倒的な治癒力。

「そなたに請われたこと、アポロは心から嬉しく思います。この力を再び人の世のため、お使いしましょう」

光の繭玉の中から現れたのは、白い修道女のような服に身を包んだ淑女だった。

少年が目を白黒させて驚いている。そりゃあそうなる。だって、何もないところから人が出てきたのだ。

「アポロ、とお呼びください。古代において、当代一の治癒回復師と。身に余る評価ではございますが、そう呼ばれておりました」
「えっと、アポロ……。すまない、早速なのだけど」
「状況は見れば分かります。高熱でずいぶん衰弱しているようですね。アポロにおまかせを」

身体の中に眠る邪気を、神気なる聖なる力で祓う。それにより、病を引き起こしている根本原因を除き、治癒にいたるのだとか。
彼女はつらつらと語り続けるが、俺にはよく分からなかった。

わかったのは、あっという間に少年の母親が元気になったということ。

少年は、体を起こした母に抱きつき、しばらく会話を交わした後、

「お兄さん、お姉さん、ありがとうっ!!!」

俺たちに深々と礼を述べた。

「でも、お代が……また今度でもいいですか?」
「いらないよ。通りがかった縁だ」

くしゃり、小さな頭に手を置き撫でてやる。

彼の笑顔で、お代ならば十分だ。