「綺麗な字だね。」

金子さんが、私の字を見て褒めてくれた。

幸せが、一気に胸いっぱいに広がる。

「ありがとう、ございます。」

頭を下げて、金子さんをもう一度見ると、彼はいつものように、笑顔でいた。

「字が綺麗な人って、見た目も綺麗な人、多いよね。」

「えっ!」

急にそんな事を言われ、思わず顔が赤くなった。

「そんな事、ないです!」

「そんな事、あるって。」

必死に否定したけれど、金子さんは私の肩を叩きながら、自分の席に戻って行った。


金子さんは、優しい。

いつも、何かしらの気遣いの言葉をくれる。

そんな優しさに触れる度に、私は金子さんが好きだと、心の中で呟いた。

もう、そんな事もできなくなってしまうだと考えると、胸が痛くて仕方がなかった。