そう。

ただの人数合わせだったら、金子さんは大声で呼びかけるだけ。

直接仕事を依頼しには、来ない。


「ごめんね、何か嫉妬みたいに聞こえちゃって。」

「そんな事ないよ。」

私は、手を左右に振った。

確かに、結婚まで決まっていて、そんな小さな嫉妬をするなんて、小百合らしくないと思うけれども、そんなところも、彼女のいいところだと言えば、いいところだ。

そこを金子さんは、いじらしいと思えるのだろう。

「ほら、私違う課だから、直接紀之と一緒に、仕事した事ないでしょ?だから気になっちゃって。」

「うん、そうだよね。」

分かる。

私も金子さんが隣の課だったら、小百合と同じ事を考えるだろう。

「仕事、頑張ってね。」

「うん、有難う。」