「雪歩は、いいなぁって思う人、いないの?」

「いないよ。」

ウソ。

そう言う私も、小百合に金子さんが好きだって、隠している。

何となく、小百合は横から手を出してくるんじゃないかって、思っていたから、本当に好きな人は、言わないでおいた。

それが、こんな形になるだなんて。

金子さんと小百合が、2年前から付き合っているのだったら、もっと早く、金子さんに告白していればよかった。


私は、入社当時から、金子さんに一目惚れして、好きだったから。


「式は、いつにするの?」

「来月。」

「そんなに、話が進んでいるの?」

「ははは。デキ婚ではないよ。」

何でもない、同期の会話。

それなのに、こんなに悲しい気持ちになるなんて。


私は、人生で一番、悲しい思いでいっぱいだった。