そして、小百合は私の真後ろの席に、明るい笑顔で戻って来た。

あれだけの人に、”おめでとう”と言われれば、誰でも幸せな気持ちになれるだろう。

私も、後ろを向くと、小百合に話しかけた。

「おめでとう、小百合。」

「ありがとう、雪歩。」

お互いに、同期入社。

所属している課は違うけれど、お互い席が真後ろ同士だから、よくしゃべっていた。


「それにしても、小百合が金子さんと付き合っていたなんて、私知らなかったよ。」

「ああ、ごめんね。」

その勝ち誇ったような、手の合わせ方。

どうやって、金子さんをその手に落としたのだろう。

「ほら、付き合っている事バレたら、周りに影響があるでしょう?」

「影響?」

「仕事がやりづらくなるからって、違う支社に飛ばされる事もあるって言うし。」