「香恋、香恋!」

「えっ…」

同じクラスの女子に呼ばれて、私は現実に戻された。

「何ぼーっとしてんの?誰かかっこいい人でもいたの?」

その子は、私の腕に掴まってきた。

「そんなんじゃないよ。」

「あ、また点数入った。」

私は、その子の指さす方に、また視線が釘付けになった。


スラリと伸びた腕から、リンクへまっすぐ伸びる線があるかのように、バスケットボールが飛んでいく。

なんてきれいな、ラインなんだろう。

そんな事を思った瞬間、終了の合図がなり、私たちの学校は勝利を手にした。

鳴り止まない拍手、仲間と分かち合う勝利。