もはや好きかどうかもわからない木村くんへ、どうしてここまでして誕生日プレゼントを贈りたいのだろうと、揺れる車両の中で考えた。すぐに出てきたその答えは、心底くだらないものだった。

 意地。

 わたしはただ、意地を張っているだけなのだ。卒業間際にして気付かされた本当の恋する相手。その相手に好かれないからと、情けないからと、木村くんへの恋を綺麗なまま続けようとしている。はたから見れば、こんなわたしの方が惨めだろうに。

 車窓に映る、モノクロの自分。今にも泣いてしまいそうなわたしと目が合って、すぐに逸らした。