「広瀬くん、どうしたの?」

 俺が驚愕したのは、君が亡くなったと知らされたその日の夜。
 窓越しにちらつく雪が、突如目の前に現れた。

「なんで泣いてるの、広瀬くん」

 通夜から帰った俺は学習机にうつ伏せて君を想い、夕飯も喉を通らず泣いていたはずなのに。

「ゆ、雪……?」

 降雪は俺の記憶にある限り、今年は一月のたった一日しかない。それが今目の前で再生されているということは、今日は一月のその日だということか。
 戸惑い、唖然としていれば。

「どうしたの広瀬くん、帰らないの?なにか悲しいことでもあったの」

 君の声にそう聞かれ、ゆっくりと窓から視線を外した俺がそちらを向けば、死んだはずの君がいた。

「美羽……」

 美羽がいる、ここにいる。これは夢か幻か。前のめりになった君が不安げな顔をしてきたから、俺には罪悪感が生まれた。

「美羽、ごめん……」
「え?」
「ごめんな……」

 本当は、感付いていたんだ。君が木村へわざわざ、誕生日プレゼントを届けに行くんじゃないかって。