一応天気予報を確認してみると、このあと更に雨脚が強くなるという。


 こりゃあダメだ。仕方ない。今日は大人しく帰るとしよう。


 ふと窓から下を見下ろす。


 中庭の花壇に人がいて何かしらの作業をしている。



 (雨の中可哀想だな…)



 業者か何かの人だろうか。花の手入れをしているみたいだった。



「はあ。二人は部活が始まるみたいだし、私も何かしらの部活に入ろうかなぁ、」



 でも、私のやりたいことってなんだろう。あんまりない、な。



「ってあれ…?」



 ――傘が、ない?


 朝見たときにはあったから誰かが間違えてしまったのだろうか。


 確かに名前は書いてないし、私の傘はどこにでもあるようなビニール傘だ。


 傘立ての中にはボロボロの傘だけが残っている。



「これ絶対にわざとじゃん…」



 どうやら、私の傘は誰かに盗まれてしまったようだ。