「あ、ねえねえ。わたし喉乾いちゃった。ジュース買いに行こっ」



 昼休み、佳奈美のその言葉に私と希生はうなずく。別に喉は渇いていなかったけど、これは水分補給ではなく人付き合いだ。だから私だけ行かないなんてありえないし、言ってはいけない。


 飲みたいものがなかったとか言っておけば飲まないジュースを買う必要もない。そう考えサイフを持って立ち上がり、自動販売機に向かった。



「、、、織っ。紫織っ。ねえ、紫織ってば」



 やばい、ぼーっとしてた。



「あ、えとごめん、なんだっけ」



 無視したとか思われてないよね。


 二人は気にする風もなく続ける。



「今日は放課後、うちら部活あるから一緒に帰れなくなったって話」



 知ってる。二人は優しいからこんなこといちいち気にしない。



「あ、うん大丈夫。そっか、今日からだっけ。」