ルフレはどこからでも行ける場所ではない。
六つの特定の場所から行くのだ
今回は北にある光の宮から王都にして、城のルフレへ向かう
ルフレと言う城名であるが城を守る六つの塔がある。
光と闇の塔が内側に、火、水、風、土は外側から城、国を守る
その塔にはそれぞれ神子長と神子達が居る
光、闇、火、水、風、土の名を受け継ぎし神子長、騎士団長、政治家達も居る。
だが、六騎士団長、神子長、宰相は選ばれし者として城で生活を許されてる
それ以外の者は塔からの通いである。
馬車に揺れ、城へ向かう
どう通ったか、白い神殿に辿り着くと、キースが前に出て、ハワードがキースの後ろへ移動し柱の中を走り抜けると光が輝き、スピカとルーベルトは眩しく、目を瞑ると、馬と馬車が雲海を走ってる。
雲海に広がる城と六つの塔、雲海の下は、オフィール国が広がる。
スピカはそれらを眺める
ここがルフレ、今日からここで生活をする、彼等と共に
スピカは、神官長、騎士団長、ルーベルトを見て、イータに触れる。
ルーベルトはルフレを見て、スピカを見る。
まだ、警戒心が強く、自分にも許されてない
許してるのは愛犬だけ
それは哀しいが守らなかった自分の責任
そしてこれから、ルフレで彼女と生活する。
キースは馬車を気にしながら、愛馬を操る
この城と国の主
十歳を迎えたばっかりの幼い娘
自分達はこの子達を守り、主として育てるのが使命
しかし王女様は怯え、警戒し、愛犬しか心を許してない。
今は速く城へ向かうしか無い。
馬車は大きな白と金の門を潜り、階段に馬車を付ける
六人は馬から降りて、ハワードが馬車のドアを開けると、キースがスピカとルーベルトを抱き上げて降ろし、イータは飛び降り、スピカに擦り寄る
二人が降りると神官長も降りる
階段があり、大きく聳え建つ城
スピカとルーベルトはキースの案内で階段を上がり、大きな扉が開き、城内へ入って行く
廊下を歩き、一室に案内され、キースは放れて、付き添いのフランが残る。
「少々、フランとお待ちくださいませ」
キースが離れ、二人を休ませる。
しかしルーベルトは落ち着かず、そわそわし諦め、椅子に座り直す。
スピカも不安となり、イータをずっと体に擦り寄せ、触り続けている。
そんな二人を見守る事しか出来ないフラン
暫くすると、ノックされ、ジュリウスとマリウスが入って来て、その後ろに二人の男性と、女性の姿がある。
「王女様と宰相様の生活、執務をサポートする、執事と使用人です」
ジュリウスが二人に説明すると、一人が胸に手を合わせ、礼をし、片手を胸に当てる。
「王女様の執務をサポートさせていただきます
執事のセバスチャンです」
セバスチャンは赤毛で、火の使い手だろう
セバスチャンは渋くダンディな風貌の男性で、父より年上だろうなと思ったスピカであるが、実は父と同期である事を、後で驚愕するスピカがいたらしい
セバスチャンと同じように挨拶する彼女
「王女様の生活をサポートさせていただきます、使用人のスーザンでございます」
スーザンはセバスチャンより若く茶髪で、土の使い手のようだ。
青年が前に出て挨拶する
「宰相様の執務をサポートさせていただきます、執事のアーノルドです」
爽やかな好青年で、青い髪、水の使い手
「宰相様の生活をサポートさせていただきます、使用人のアメリアです」
アメリアはアーノルドに似ていて白髪、風の使い手らしい
「アーノルドとアメリアは兄妹です」
マリウスの言葉にスピカ、ルーベルト、イータは納得する
スーザンとアメリアがスピカとルーベルト、イータを連れて、イータは何かに気付いたのか、逃げようとし、使用人は逃さない。
風呂へ入れ、二人と一匹の体を清める
すると使用人達は驚く
ルーベルトの髪はプラチナブロンドと思いきや、普通のブロンドで、光がきらびやかに輝いてる。
スピカの髪は普通の黒と思いきや、黒髪に星屑のようなきらびやかな輝きがある
『お二人の髪はなんて美しいのだろう』
イータは最初は嫌がっていたが、気持ちよくなったのか、大人しくなり、今はもう寝そうだ。
もちろんイータの足をケアしながら
二人と一匹が風呂に入らせてる間、別の使用人達は急いで、部屋と衣服の準備にかかる。
長年、居なかった王と宰相が現れ城に務める者達は浮かれてイキイキと仕事をこなしていく
まだ十歳という幼き王女と宰相の存在に
幼い王女が、いつか笑顔となるようにと願って
風呂からあがった二人に似合うドレスとスーツを着せて、髪は風の使い手により乾かされ、優しくブラシで梳く
互いの使用人は二人の髪を見て浮かれる。
スピカとルーベルトは、何故浮かれてるか、解らずに首を傾げる
『かわいい!』
『何、ご主人様でなく天使様ですか、王女様と宰相様は』
二人がキュンキュンしてる事はスピカもルーベルトも解らず、イータは項垂れる
スピカはイータと用意された部屋はクリーム色で統一されてる。
天蓋付きのベッド、テーブルにソファが置かれてる。
ベッドそばにチェストがあり、そこにベルが置かれてある。
それを鳴らせば、スーザンや使用人達が来ると言う
呼び鈴だ。
そしてイータの足の負担にならない用にとイータ専用のクッションもある。
『今日からここが自分の居場所』
スピカは室内を見て、そのまま外を見る
ルーバルコニーが有り、端の方に騎士の姿が視える
そして視線の先にはルフレの庭が広がる
『何故自分が王女』
スピカは解らずに居る
明日はスピカとルーベルトの即位式だと言う
国の王女、ルフレの主、
スピカは全てが重荷で逃げ出したく、蹲る
ルーベルトは一人、自室を見る
シンプルで木面の部屋
ベッドに机、椅子
これからここで生活し、彼女を支える
それが自分の幸福
夕食、スピカはイータと食べる
料理人が考えてくれたのか、ルイヒの家庭料理で、完食は出来なかったが少し嬉しく感じた。
スーザンにより、着替えて、眠りに付く
スーザンが部屋から出ると、六つの光がスピカを囲む
青年が現れ、悲しそうにスピカを見つめて、触れる
『済まないスピカ』
『やっと会えた』
『ずっと待っていた』
『我等の姫』
『スピカ姫』
『長い時間、貴女だけを』
六つの光が消え、青年はずっとスピカを視てる
「お休み、私達の姫、今は夢に委ねて」
そう口にし消える。
皆が明日の即位式の為に、休み、警備をしルフレに帳が降りる
朝陽により寝覚める、見慣れない室内に驚くもすぐルフレと思い出し、深い溜め息を吐き出す。
その時、誰かが入って来た。
「王女様、朝でございます、起きてくださいませ」
セバスチャンの声
今、何時か、解らないが、寝てるのも恥ずかしいのでモゾモゾと動き、体を起こす
するとスーザンが入って来て、セバスチャンがベッドカーテンをまとめて止める
スーザンの手伝いにより着替えてて、顔を洗う
食事が用意され、ルイヒの定番の朝食だが、量が多い
「昨日も、思ったけど、美味しいし、嬉しいけど、量が多いから、食べきれない」
「料理長には私から伝えて置きます」
セバスチャンは笑顔で静かに答える
スピカが食べ終えると食器を調理場へと運ぶ
本来それはスーザンの役目だが、スピカの“頼み”がある為、セバスチャンが引き受ける
「王女様が量が多いと困ってましたよ、不安の多い王女様を困らせないでください」
「王女様を喜ばせたく」
笑顔で料理人が言うとセバスチャンが呆れる
なら宰相様の料理らと聞きたくなかったが、面倒だから、アーノルドに押し付けよう、そうしよう
「王女様はまだ十歳のお子です」
『宰相様の事は解らないから、あえて王女のみ、彼に伝えておこう、アーノルドは私と違い優しい為、大丈夫だろうほっとこ』
六騎士団長は即位式の支度に駆け廻る為、セバスチャンがスピカの側に寄り添う
時間が近付くと昨日居た部屋へ行くとルーベルトの姿がある
アーノルドとアメリアの姿も
セバスチャンが説明する
「即位式は宰相様と王女様が王座に上がりまして、お二人で挨拶の礼をしまして、王座に座らせ、
宰相様は王座の隣りでお立ちになってください」
立ってるのが辛いなと、ルーベルトは思う
「その後、挨拶が行われ、手の礼で返事をしてください」
「寝そう」
「疲れそう」
スピカとルーベルトが素直に呟く
それは困る
この即位式はオフィール全土に流れる
王女として宰相として見せないと困るし、子供にはこの儀式はきついものも事実
早朝、各町の教会より、昨日ルフレに王女と宰相が入られた
ルイヒ出身者
本日即位の儀が執り行われる
そう神父より伝言を流され民はざわめく
ルーベルトの母は泣き
スピカの両親は寄り添い、その伝言を聞き、広場へと向かうのだった。
セバスチャンは二人を視る
「我慢してください、と、言いたいんですが、挨拶は簡単に済ませますから、耐えてください」
セバスチャンは幼い主の為、言葉を選び説明する
おそらく二人はルフレに来ての見本が居ない為、緊張や不安で居るに違いない
スピカはスピカで王女という立場や重荷、不安で儀が失敗するのではないかと恐れてる
ルーベルトはずっとスピカを見て、アーノルドとアメリアは苦笑する
側に居たい、支えたいと思ってるのに、上手く伝えられずに動けない
スーザンとアメリアが来て、二人を連れて行く、禊を行うためだ。
案内された場所につくと白い衣に着替えさせられ、明りの少ない、薄暗い室内の岩場の池で、スーザンのみの手伝いで体を清水で清める
禊は十歳の誕生日に行うが、スピカは儀式当日が誕生日の為、前日に行った。
禊が終わると、体を暖め、スーザンはスピカにクリーム色のドレスを着せて向かわせれば、ルーベルトも白いスーツを着て、待っていた。
彼もまた禊を行ったのだろう
スーザンとアメリアは二人を座らせ髪を櫛で梳く
軽く癖のあるルーベルトに、ストレートのスピカの髪をまとめる
二人の髪を活かしセットする
そしてスピカに王女としてのシルバーのティアラを付け、スギライトのペンダントを付ける
アメリアもルーベルトにスギライトのブローチを付けて微笑み、準備完了とし、セバスチャン、アーノルドが迎える。
即位式が始まる。
まだ城内が解らないから、スピカとルーベルトはセバスチャン、アーノルドに続いて歩く
目の前に城の入口のような、白と金の扉が視えて、その前で止まる。
ルーベルトは右後ろに立ち、セバスチャンとアーノルドはノブを掴み、時を待つ
オフィールの民は映像として謁見の間を視てる
十時の鐘の音が鳴り響く
「オフィール国、建国五千年のこの年、王と宰相様がルフレにお戻りになられました。
静かなる町、ルイヒから来られた、乙女の星、スピカ王女様
王女様を支えし光の者、宰相ルーベルト様のお出ましです」
セバスチャンとアーノルドがゆっくりと扉を開け跪く
スピカがゆっくりと前へ歩み、ルーベルトが後ろに付いて行く
すると左右に居るルフレに仕える者達が二人に合せて、跪く
人々は二人の姿に驚く
『あれがスピカだと言うのか?』
『スピカはあれほど美しかっただろうか?』
スピカの両親はスピカの姿に驚愕する
ルーベルトの母もルーベルトの髪に驚く
『あれが私の息子というの?』
「あのお二人が王女様と宰相様、なんて美しい」
「十年も解らなかったのか」
国民は新たな王女と宰相に衝撃を受けた
優美過ぎる幼い国の主
今までで、あれ程美しい人物は他に居ただろうか?
何故今まで見付からなかった
スピカとルーベルトは人々の間を通り、王座へ上がる階段を上がり、王座の前に立つと皆の方へ見る
ルーベルトはスピカを先に、上らせ、振り返ると一礼し階段を上がり、スピカの右側に立つ
スピカとルーベルトは胸で合掌し一礼すると皆も合掌し手の親指を唇に当て一礼する
スピカは王座に座り、ルーベルトは横に立つ
星屑の王女と太陽の宰相をオフィールに知らしめた瞬間だ。
ルーベルトは右手を上げると神官長が前に歩み出て一礼する
「神子達を統一する神官長を努めさせていただきます」
そう彼は言い、神官長が後ろに下がると光の者達が前へ歩み出る。
光の者達の前に、代表者として騎士団長のキースと神子長の男性立っていて、その後ろには光の騎士団と神子達が居るが、全体的に、彼等の人数は少ない
オフィール全体で光の力を持つ者が少なく、珍しい存在なのだろう
「光の神子長を務めさせてもらってます光でございます」
光が一歩下がると光の隣りに居たキースが一歩前に出て、剣を出して刃を横にする
「光の騎士団長・キースでございます
王女様の光り輝く未来に」
「「輝く未来に」」
光の神子達、騎士団が口にしてキースと光が挨拶し神子達は深く首を下げ、騎士団は剣を掲げ、スピカとルーベルトが挨拶を返す
キースと光が外から後ろを向き、音を鳴らせば神子、騎士団は後ろを向き、元の場所へ戻り剣をおさめる
光の騎士団、神子達は明るいより神々しく強いイメージがした。
闇の神子と騎士団が前に出る
やはり光と同等、人数が少なく珍しい存在なのだろう
「闇の神子長・闇と申します」
闇が挨拶するとスピカがそれを返す
ハワードが静かに前へ歩み闇の横に立つ
「闇の騎士団長・ハワード、王女様に静かなる時を願いて」
「「静かなる時を」」
闇と光と違い包むような力を感じる
闇の者達が下がると火の神子達と騎士団が前に出る
火が舞う
四元素の一つ火
光と闇の人数よりはるかに多く居る
「火の神子長、火です」
「火の騎士団長・アベルです、王女様を守りし剣の忠義を」
「「忠義を」」
おそらく火の者達は心が熱く、強いのだろう
しかし感じる力は温もりの様に温かい
火の騎士団が剣を掲げ、それをしまい、後ろへ下がると水の者達が流れる様に前に出る
「水の神子長、水でございます」
水の神子長は長の中で唯一の女性
「水の騎士団長のマリウスです、王女様を守りし水に」
「「守りし水に」」
水の力は流れと闇のような包まれ感を感じる
そして流れる様に下がり、風の者達が前に出る
「風の神子長、風と申します」
「風の騎士団長フランです、王女様を包む風となりましょう」
「「風となりましょう」」
風が舞う
最後は土の者達
「土の神子長、土と申します
土は神子長の中で最年長のようだ
「土の騎士団長、ジュリウス、王女様を守りし盾になりましょう」
「「守りし盾になりましょう」」
皆が下がると、執事長セバスチャンと宰相ルーベルトが動きスピカの前に跪く
「オフィールの未来にルフレの主スピカ様に」
「我等ルフレの導きを受けし者の感謝と忠義を捧げます」
六つの特定の場所から行くのだ
今回は北にある光の宮から王都にして、城のルフレへ向かう
ルフレと言う城名であるが城を守る六つの塔がある。
光と闇の塔が内側に、火、水、風、土は外側から城、国を守る
その塔にはそれぞれ神子長と神子達が居る
光、闇、火、水、風、土の名を受け継ぎし神子長、騎士団長、政治家達も居る。
だが、六騎士団長、神子長、宰相は選ばれし者として城で生活を許されてる
それ以外の者は塔からの通いである。
馬車に揺れ、城へ向かう
どう通ったか、白い神殿に辿り着くと、キースが前に出て、ハワードがキースの後ろへ移動し柱の中を走り抜けると光が輝き、スピカとルーベルトは眩しく、目を瞑ると、馬と馬車が雲海を走ってる。
雲海に広がる城と六つの塔、雲海の下は、オフィール国が広がる。
スピカはそれらを眺める
ここがルフレ、今日からここで生活をする、彼等と共に
スピカは、神官長、騎士団長、ルーベルトを見て、イータに触れる。
ルーベルトはルフレを見て、スピカを見る。
まだ、警戒心が強く、自分にも許されてない
許してるのは愛犬だけ
それは哀しいが守らなかった自分の責任
そしてこれから、ルフレで彼女と生活する。
キースは馬車を気にしながら、愛馬を操る
この城と国の主
十歳を迎えたばっかりの幼い娘
自分達はこの子達を守り、主として育てるのが使命
しかし王女様は怯え、警戒し、愛犬しか心を許してない。
今は速く城へ向かうしか無い。
馬車は大きな白と金の門を潜り、階段に馬車を付ける
六人は馬から降りて、ハワードが馬車のドアを開けると、キースがスピカとルーベルトを抱き上げて降ろし、イータは飛び降り、スピカに擦り寄る
二人が降りると神官長も降りる
階段があり、大きく聳え建つ城
スピカとルーベルトはキースの案内で階段を上がり、大きな扉が開き、城内へ入って行く
廊下を歩き、一室に案内され、キースは放れて、付き添いのフランが残る。
「少々、フランとお待ちくださいませ」
キースが離れ、二人を休ませる。
しかしルーベルトは落ち着かず、そわそわし諦め、椅子に座り直す。
スピカも不安となり、イータをずっと体に擦り寄せ、触り続けている。
そんな二人を見守る事しか出来ないフラン
暫くすると、ノックされ、ジュリウスとマリウスが入って来て、その後ろに二人の男性と、女性の姿がある。
「王女様と宰相様の生活、執務をサポートする、執事と使用人です」
ジュリウスが二人に説明すると、一人が胸に手を合わせ、礼をし、片手を胸に当てる。
「王女様の執務をサポートさせていただきます
執事のセバスチャンです」
セバスチャンは赤毛で、火の使い手だろう
セバスチャンは渋くダンディな風貌の男性で、父より年上だろうなと思ったスピカであるが、実は父と同期である事を、後で驚愕するスピカがいたらしい
セバスチャンと同じように挨拶する彼女
「王女様の生活をサポートさせていただきます、使用人のスーザンでございます」
スーザンはセバスチャンより若く茶髪で、土の使い手のようだ。
青年が前に出て挨拶する
「宰相様の執務をサポートさせていただきます、執事のアーノルドです」
爽やかな好青年で、青い髪、水の使い手
「宰相様の生活をサポートさせていただきます、使用人のアメリアです」
アメリアはアーノルドに似ていて白髪、風の使い手らしい
「アーノルドとアメリアは兄妹です」
マリウスの言葉にスピカ、ルーベルト、イータは納得する
スーザンとアメリアがスピカとルーベルト、イータを連れて、イータは何かに気付いたのか、逃げようとし、使用人は逃さない。
風呂へ入れ、二人と一匹の体を清める
すると使用人達は驚く
ルーベルトの髪はプラチナブロンドと思いきや、普通のブロンドで、光がきらびやかに輝いてる。
スピカの髪は普通の黒と思いきや、黒髪に星屑のようなきらびやかな輝きがある
『お二人の髪はなんて美しいのだろう』
イータは最初は嫌がっていたが、気持ちよくなったのか、大人しくなり、今はもう寝そうだ。
もちろんイータの足をケアしながら
二人と一匹が風呂に入らせてる間、別の使用人達は急いで、部屋と衣服の準備にかかる。
長年、居なかった王と宰相が現れ城に務める者達は浮かれてイキイキと仕事をこなしていく
まだ十歳という幼き王女と宰相の存在に
幼い王女が、いつか笑顔となるようにと願って
風呂からあがった二人に似合うドレスとスーツを着せて、髪は風の使い手により乾かされ、優しくブラシで梳く
互いの使用人は二人の髪を見て浮かれる。
スピカとルーベルトは、何故浮かれてるか、解らずに首を傾げる
『かわいい!』
『何、ご主人様でなく天使様ですか、王女様と宰相様は』
二人がキュンキュンしてる事はスピカもルーベルトも解らず、イータは項垂れる
スピカはイータと用意された部屋はクリーム色で統一されてる。
天蓋付きのベッド、テーブルにソファが置かれてる。
ベッドそばにチェストがあり、そこにベルが置かれてある。
それを鳴らせば、スーザンや使用人達が来ると言う
呼び鈴だ。
そしてイータの足の負担にならない用にとイータ専用のクッションもある。
『今日からここが自分の居場所』
スピカは室内を見て、そのまま外を見る
ルーバルコニーが有り、端の方に騎士の姿が視える
そして視線の先にはルフレの庭が広がる
『何故自分が王女』
スピカは解らずに居る
明日はスピカとルーベルトの即位式だと言う
国の王女、ルフレの主、
スピカは全てが重荷で逃げ出したく、蹲る
ルーベルトは一人、自室を見る
シンプルで木面の部屋
ベッドに机、椅子
これからここで生活し、彼女を支える
それが自分の幸福
夕食、スピカはイータと食べる
料理人が考えてくれたのか、ルイヒの家庭料理で、完食は出来なかったが少し嬉しく感じた。
スーザンにより、着替えて、眠りに付く
スーザンが部屋から出ると、六つの光がスピカを囲む
青年が現れ、悲しそうにスピカを見つめて、触れる
『済まないスピカ』
『やっと会えた』
『ずっと待っていた』
『我等の姫』
『スピカ姫』
『長い時間、貴女だけを』
六つの光が消え、青年はずっとスピカを視てる
「お休み、私達の姫、今は夢に委ねて」
そう口にし消える。
皆が明日の即位式の為に、休み、警備をしルフレに帳が降りる
朝陽により寝覚める、見慣れない室内に驚くもすぐルフレと思い出し、深い溜め息を吐き出す。
その時、誰かが入って来た。
「王女様、朝でございます、起きてくださいませ」
セバスチャンの声
今、何時か、解らないが、寝てるのも恥ずかしいのでモゾモゾと動き、体を起こす
するとスーザンが入って来て、セバスチャンがベッドカーテンをまとめて止める
スーザンの手伝いにより着替えてて、顔を洗う
食事が用意され、ルイヒの定番の朝食だが、量が多い
「昨日も、思ったけど、美味しいし、嬉しいけど、量が多いから、食べきれない」
「料理長には私から伝えて置きます」
セバスチャンは笑顔で静かに答える
スピカが食べ終えると食器を調理場へと運ぶ
本来それはスーザンの役目だが、スピカの“頼み”がある為、セバスチャンが引き受ける
「王女様が量が多いと困ってましたよ、不安の多い王女様を困らせないでください」
「王女様を喜ばせたく」
笑顔で料理人が言うとセバスチャンが呆れる
なら宰相様の料理らと聞きたくなかったが、面倒だから、アーノルドに押し付けよう、そうしよう
「王女様はまだ十歳のお子です」
『宰相様の事は解らないから、あえて王女のみ、彼に伝えておこう、アーノルドは私と違い優しい為、大丈夫だろうほっとこ』
六騎士団長は即位式の支度に駆け廻る為、セバスチャンがスピカの側に寄り添う
時間が近付くと昨日居た部屋へ行くとルーベルトの姿がある
アーノルドとアメリアの姿も
セバスチャンが説明する
「即位式は宰相様と王女様が王座に上がりまして、お二人で挨拶の礼をしまして、王座に座らせ、
宰相様は王座の隣りでお立ちになってください」
立ってるのが辛いなと、ルーベルトは思う
「その後、挨拶が行われ、手の礼で返事をしてください」
「寝そう」
「疲れそう」
スピカとルーベルトが素直に呟く
それは困る
この即位式はオフィール全土に流れる
王女として宰相として見せないと困るし、子供にはこの儀式はきついものも事実
早朝、各町の教会より、昨日ルフレに王女と宰相が入られた
ルイヒ出身者
本日即位の儀が執り行われる
そう神父より伝言を流され民はざわめく
ルーベルトの母は泣き
スピカの両親は寄り添い、その伝言を聞き、広場へと向かうのだった。
セバスチャンは二人を視る
「我慢してください、と、言いたいんですが、挨拶は簡単に済ませますから、耐えてください」
セバスチャンは幼い主の為、言葉を選び説明する
おそらく二人はルフレに来ての見本が居ない為、緊張や不安で居るに違いない
スピカはスピカで王女という立場や重荷、不安で儀が失敗するのではないかと恐れてる
ルーベルトはずっとスピカを見て、アーノルドとアメリアは苦笑する
側に居たい、支えたいと思ってるのに、上手く伝えられずに動けない
スーザンとアメリアが来て、二人を連れて行く、禊を行うためだ。
案内された場所につくと白い衣に着替えさせられ、明りの少ない、薄暗い室内の岩場の池で、スーザンのみの手伝いで体を清水で清める
禊は十歳の誕生日に行うが、スピカは儀式当日が誕生日の為、前日に行った。
禊が終わると、体を暖め、スーザンはスピカにクリーム色のドレスを着せて向かわせれば、ルーベルトも白いスーツを着て、待っていた。
彼もまた禊を行ったのだろう
スーザンとアメリアは二人を座らせ髪を櫛で梳く
軽く癖のあるルーベルトに、ストレートのスピカの髪をまとめる
二人の髪を活かしセットする
そしてスピカに王女としてのシルバーのティアラを付け、スギライトのペンダントを付ける
アメリアもルーベルトにスギライトのブローチを付けて微笑み、準備完了とし、セバスチャン、アーノルドが迎える。
即位式が始まる。
まだ城内が解らないから、スピカとルーベルトはセバスチャン、アーノルドに続いて歩く
目の前に城の入口のような、白と金の扉が視えて、その前で止まる。
ルーベルトは右後ろに立ち、セバスチャンとアーノルドはノブを掴み、時を待つ
オフィールの民は映像として謁見の間を視てる
十時の鐘の音が鳴り響く
「オフィール国、建国五千年のこの年、王と宰相様がルフレにお戻りになられました。
静かなる町、ルイヒから来られた、乙女の星、スピカ王女様
王女様を支えし光の者、宰相ルーベルト様のお出ましです」
セバスチャンとアーノルドがゆっくりと扉を開け跪く
スピカがゆっくりと前へ歩み、ルーベルトが後ろに付いて行く
すると左右に居るルフレに仕える者達が二人に合せて、跪く
人々は二人の姿に驚く
『あれがスピカだと言うのか?』
『スピカはあれほど美しかっただろうか?』
スピカの両親はスピカの姿に驚愕する
ルーベルトの母もルーベルトの髪に驚く
『あれが私の息子というの?』
「あのお二人が王女様と宰相様、なんて美しい」
「十年も解らなかったのか」
国民は新たな王女と宰相に衝撃を受けた
優美過ぎる幼い国の主
今までで、あれ程美しい人物は他に居ただろうか?
何故今まで見付からなかった
スピカとルーベルトは人々の間を通り、王座へ上がる階段を上がり、王座の前に立つと皆の方へ見る
ルーベルトはスピカを先に、上らせ、振り返ると一礼し階段を上がり、スピカの右側に立つ
スピカとルーベルトは胸で合掌し一礼すると皆も合掌し手の親指を唇に当て一礼する
スピカは王座に座り、ルーベルトは横に立つ
星屑の王女と太陽の宰相をオフィールに知らしめた瞬間だ。
ルーベルトは右手を上げると神官長が前に歩み出て一礼する
「神子達を統一する神官長を努めさせていただきます」
そう彼は言い、神官長が後ろに下がると光の者達が前へ歩み出る。
光の者達の前に、代表者として騎士団長のキースと神子長の男性立っていて、その後ろには光の騎士団と神子達が居るが、全体的に、彼等の人数は少ない
オフィール全体で光の力を持つ者が少なく、珍しい存在なのだろう
「光の神子長を務めさせてもらってます光でございます」
光が一歩下がると光の隣りに居たキースが一歩前に出て、剣を出して刃を横にする
「光の騎士団長・キースでございます
王女様の光り輝く未来に」
「「輝く未来に」」
光の神子達、騎士団が口にしてキースと光が挨拶し神子達は深く首を下げ、騎士団は剣を掲げ、スピカとルーベルトが挨拶を返す
キースと光が外から後ろを向き、音を鳴らせば神子、騎士団は後ろを向き、元の場所へ戻り剣をおさめる
光の騎士団、神子達は明るいより神々しく強いイメージがした。
闇の神子と騎士団が前に出る
やはり光と同等、人数が少なく珍しい存在なのだろう
「闇の神子長・闇と申します」
闇が挨拶するとスピカがそれを返す
ハワードが静かに前へ歩み闇の横に立つ
「闇の騎士団長・ハワード、王女様に静かなる時を願いて」
「「静かなる時を」」
闇と光と違い包むような力を感じる
闇の者達が下がると火の神子達と騎士団が前に出る
火が舞う
四元素の一つ火
光と闇の人数よりはるかに多く居る
「火の神子長、火です」
「火の騎士団長・アベルです、王女様を守りし剣の忠義を」
「「忠義を」」
おそらく火の者達は心が熱く、強いのだろう
しかし感じる力は温もりの様に温かい
火の騎士団が剣を掲げ、それをしまい、後ろへ下がると水の者達が流れる様に前に出る
「水の神子長、水でございます」
水の神子長は長の中で唯一の女性
「水の騎士団長のマリウスです、王女様を守りし水に」
「「守りし水に」」
水の力は流れと闇のような包まれ感を感じる
そして流れる様に下がり、風の者達が前に出る
「風の神子長、風と申します」
「風の騎士団長フランです、王女様を包む風となりましょう」
「「風となりましょう」」
風が舞う
最後は土の者達
「土の神子長、土と申します
土は神子長の中で最年長のようだ
「土の騎士団長、ジュリウス、王女様を守りし盾になりましょう」
「「守りし盾になりましょう」」
皆が下がると、執事長セバスチャンと宰相ルーベルトが動きスピカの前に跪く
「オフィールの未来にルフレの主スピカ様に」
「我等ルフレの導きを受けし者の感謝と忠義を捧げます」