「……沙羅、何するんだ?」

 引っ叩かれた頬に手を当てて、蓮が私を睨んでいる。でも私もひるまない。

「私の彼氏に謝りなさいって言ってんの!!」
「……彼氏?」
「そうよ。何かおかしい?」

 驚いた顔をしているのは、蓮ばかりではない。竹村だってそう。保留になってるはずなのに、急に"彼氏"と言われたらそんな反応になるのも仕方がない。