どれほど弟を見放したいと思ったことか。

 それでも私は奴の姉なのだ。母を事故で亡くして以来、弟の世話を焼いている。義務。義理。それだけか? ううん違う。結局は、弟が可愛いんだと思う。見捨てられないというか、運命共同体というか。

 朝、私は弁当を作っていた。普段から作るわけじゃない。今日は遠足なのだ。特別な日だから、腕によりをかけて弁当を作っている。

 だし巻き卵、ミニハンバーグ、唐揚げ。錚々(そうそう)たるメンバーが名を連ねる。極めつけはウインナーだ。タコさんにもカニさんにもしない。豪快に、そのままフライパンで炙って、炙って、炙り倒す。