雷華様の激しい怒りが発せられる。その怒りに触れた者達は、皆小さく悲鳴をあげたが。私だけは場違いに「我が妻」と言う言葉に、胸をドキリと高鳴らせていた。
すると暗雲から突然バチバチッと出鱈目に雷が迸り、地上に轟音を響かせながら次々と降り注いだ。それは屋敷に当たり、庭に当たり、そして逃げ惑う人の先を潰していく様に当たっていく。
阿鼻叫喚の光景が目の前に広がり、ただただ絶句するしかない。
「よくも拙者の屋敷を!」
「黙れ、先に手を出したのはどちらだ」
雷華様が冷酷に唾棄すると、小十郎様は怒りで震え「裏切っただけで飽き足らず」と恨めしげに雷華様を射抜いた。
「裏切り?何を間の抜けた事を申しておる、我は貴様なんぞに忠誠を誓っておらぬ」
「何を?!貴様は拙者に伊達家を支えると言ったではないか。力を貸すと!拙者を当主として立て、強くすると!」
「曲解も甚だしいぞ。確かに我は伊達家を支えると申した。だが貴様に仕えるとは一言も申しておらぬ。勝手な曲解で、我にその咎を押しつけようとするでない。我が貴様の様な愚か者に仕える訳なかろうて。我が当主として立て、力を貸す者は、すでに別でおる」
冷淡に告げると、目の前の小十郎様が「まさか」と顔色を青ざめさせる。
その刹那、「うおおおおっ!」と言う胴間声が聞こえ、ドタバタと鯨波が押し寄せる様に武装を施した武士達がやって来た。
囲いを更に囲う様にやってきた武士達は、次々と小十郎様の家臣達に刀を向け出す。
そしてそんな大波をかき分ける様に、中央から馬に乗ってやってきた武士がいた。若々しい綺麗な顔立ちだが、右目には眼帯。そして纏っている覇気は、この場に居る誰もが圧倒される様な物だった。まだまだ若いと言うのに、年を重ねた大人をも縮み上がらせてしまうのではなかろうか。
間違い無い、あのお方は・・。
「兄者・・・」
あの小十郎様が恐れを帯びて、突然現れた人物にたじろいでいる。
私が「やはり、あのお方が」と思っていると、雷華様が飄々と「待ちわびたぞ、政宗」と告げた。
え、待って。雷華様はあの方と、藤次郎様と顔見知りなの?え、ど、どういう事?それに、あの方を諱で呼ぶなんて。それを咎めないなんて、どういう事?
目の前の事態が一向に飲み込めず、混乱に陥ってしまうが。藤次郎様は小十郎様を無視して、雷華様を見据えながら答える。
すると暗雲から突然バチバチッと出鱈目に雷が迸り、地上に轟音を響かせながら次々と降り注いだ。それは屋敷に当たり、庭に当たり、そして逃げ惑う人の先を潰していく様に当たっていく。
阿鼻叫喚の光景が目の前に広がり、ただただ絶句するしかない。
「よくも拙者の屋敷を!」
「黙れ、先に手を出したのはどちらだ」
雷華様が冷酷に唾棄すると、小十郎様は怒りで震え「裏切っただけで飽き足らず」と恨めしげに雷華様を射抜いた。
「裏切り?何を間の抜けた事を申しておる、我は貴様なんぞに忠誠を誓っておらぬ」
「何を?!貴様は拙者に伊達家を支えると言ったではないか。力を貸すと!拙者を当主として立て、強くすると!」
「曲解も甚だしいぞ。確かに我は伊達家を支えると申した。だが貴様に仕えるとは一言も申しておらぬ。勝手な曲解で、我にその咎を押しつけようとするでない。我が貴様の様な愚か者に仕える訳なかろうて。我が当主として立て、力を貸す者は、すでに別でおる」
冷淡に告げると、目の前の小十郎様が「まさか」と顔色を青ざめさせる。
その刹那、「うおおおおっ!」と言う胴間声が聞こえ、ドタバタと鯨波が押し寄せる様に武装を施した武士達がやって来た。
囲いを更に囲う様にやってきた武士達は、次々と小十郎様の家臣達に刀を向け出す。
そしてそんな大波をかき分ける様に、中央から馬に乗ってやってきた武士がいた。若々しい綺麗な顔立ちだが、右目には眼帯。そして纏っている覇気は、この場に居る誰もが圧倒される様な物だった。まだまだ若いと言うのに、年を重ねた大人をも縮み上がらせてしまうのではなかろうか。
間違い無い、あのお方は・・。
「兄者・・・」
あの小十郎様が恐れを帯びて、突然現れた人物にたじろいでいる。
私が「やはり、あのお方が」と思っていると、雷華様が飄々と「待ちわびたぞ、政宗」と告げた。
え、待って。雷華様はあの方と、藤次郎様と顔見知りなの?え、ど、どういう事?それに、あの方を諱で呼ぶなんて。それを咎めないなんて、どういう事?
目の前の事態が一向に飲み込めず、混乱に陥ってしまうが。藤次郎様は小十郎様を無視して、雷華様を見据えながら答える。