「雷華様あああああああああああああああああああ!」
自分でも驚く程の絶叫、今までで一番の自分の叫びが発せられた。空気をビリビリと震撼させ、広大で安穏としている奥州に響く勢いで、私の叫びは広がる。
凄まじい勢いで広がった声に、空を飛んでいる鳥達は驚き飛び去り、屋敷の者達もざわざわと騒ぎ出す。
「何をしておる!」
「轡をさせるのじゃ!はよう!はようしろ!」
私を押さえていた二人も動揺し、慌てて私を地面に押さえつけ、私の口に猿ぐつわをはめようと動き出した。
粗く細い布が口にはめられそうになった時だ。
靄然としていた空に、突如ずうんと重々しい暗雲がどこからともなく現れる。それは瞬く間に広がり、ゴロゴロと雷もおどろおどろしく鳴り始めた。
あまりにも異様な空模様に、押さえていた二人はおののき「何事じゃ」と空を見上げながら呟き出す。
私も驚きを覚えるが、不思議と広がった暗雲に恐れおののきはしなかった。どこかホッと安堵できる様な、そんな不思議な心地に陥る。
その刹那だった。
ピシャーンッと青白い雷が、私達の真横にあった木に落ちた。木は青白い雷に打たれ、中身に炎を燃え盛らせながらメキメキと倒れていく。ずしぃんと重々しく倒れると、空に閃光が迸った。そしてまた近くにあった木に落ち、轟音を轟かせる。
真横で怒りの様に猛る轟音に、二人はヒッと恐れ、泡を食い始めるが。私はキュッと唇を真一文字に結び、空を見上げていた。
すると暗雲の中で、何かの影が現れた気がした。その影は見た事もない、大きな四足獣。雷で暗雲の中が光ると、その影はより濃く空に映る。
大きな体、立派な二本角、足や胸元では何かがゆらゆらと揺れ動いていた。長細くなっていく尾も、左右に悠々と揺れている。
「雷華様」
自分でも驚いてしまうが、するりと口から雷華様の名前が吐き出された。何故あの大きな四足獣が雷華様だと思ったのかは分からないが、不思議な確信が胸の中にあった。
全く根拠がないし、自分でも分からないけれど。あの四足獣は、きっと雷華様だわ。
きっとそう、と確信を奥歯で噛みしめると。再び雷が迸り、その青白い閃光は私達の近くに伸びた。
だが、降りてきたのはその閃光だけではない。暗雲の中から閃光と同じように、俊敏に地に降り立ったのは、暗雲の中に居た四足獣だった。
自分でも驚く程の絶叫、今までで一番の自分の叫びが発せられた。空気をビリビリと震撼させ、広大で安穏としている奥州に響く勢いで、私の叫びは広がる。
凄まじい勢いで広がった声に、空を飛んでいる鳥達は驚き飛び去り、屋敷の者達もざわざわと騒ぎ出す。
「何をしておる!」
「轡をさせるのじゃ!はよう!はようしろ!」
私を押さえていた二人も動揺し、慌てて私を地面に押さえつけ、私の口に猿ぐつわをはめようと動き出した。
粗く細い布が口にはめられそうになった時だ。
靄然としていた空に、突如ずうんと重々しい暗雲がどこからともなく現れる。それは瞬く間に広がり、ゴロゴロと雷もおどろおどろしく鳴り始めた。
あまりにも異様な空模様に、押さえていた二人はおののき「何事じゃ」と空を見上げながら呟き出す。
私も驚きを覚えるが、不思議と広がった暗雲に恐れおののきはしなかった。どこかホッと安堵できる様な、そんな不思議な心地に陥る。
その刹那だった。
ピシャーンッと青白い雷が、私達の真横にあった木に落ちた。木は青白い雷に打たれ、中身に炎を燃え盛らせながらメキメキと倒れていく。ずしぃんと重々しく倒れると、空に閃光が迸った。そしてまた近くにあった木に落ち、轟音を轟かせる。
真横で怒りの様に猛る轟音に、二人はヒッと恐れ、泡を食い始めるが。私はキュッと唇を真一文字に結び、空を見上げていた。
すると暗雲の中で、何かの影が現れた気がした。その影は見た事もない、大きな四足獣。雷で暗雲の中が光ると、その影はより濃く空に映る。
大きな体、立派な二本角、足や胸元では何かがゆらゆらと揺れ動いていた。長細くなっていく尾も、左右に悠々と揺れている。
「雷華様」
自分でも驚いてしまうが、するりと口から雷華様の名前が吐き出された。何故あの大きな四足獣が雷華様だと思ったのかは分からないが、不思議な確信が胸の中にあった。
全く根拠がないし、自分でも分からないけれど。あの四足獣は、きっと雷華様だわ。
きっとそう、と確信を奥歯で噛みしめると。再び雷が迸り、その青白い閃光は私達の近くに伸びた。
だが、降りてきたのはその閃光だけではない。暗雲の中から閃光と同じように、俊敏に地に降り立ったのは、暗雲の中に居た四足獣だった。