何が頼りにしておるぞ、だ。こうも早く、伊達家の当主と言う事を鼻に掛けてくるとは。自分が当主だと見せつけてくるとは。伊達家の当主に相応しいのは、拙者だと言うのに。
拙者は歯がみしながら「お任せを、兄者」と苦々しく答えた。
そんな苦々しい言葉に、姿が見えぬ父上と兄者は「これで伊達家も安泰」と言葉を交わし始める。
屈辱じゃ、これ程の屈辱を感じた事はない。麒麟の力で、拙者を当主にすると言っておったくせに。
あやつめ、許せん。約束は反故にされたも同然だ、憐を殺す。そして麒麟も殺し、拙者が伊達家の当主になってみせる。
兄者は真の当主ではない、拙者こそが伊達家の当主に相応しいのだ。拙者は、天下人にも相応しい人間なのだ。
ギチギチと奥歯を噛みしめ続け、燃え盛る怒りと恨みの炎が全身に纏われる。
それだと言うのに、素っ頓狂な父上と兄者は、横で燃え盛る炎に全く気がついていなかった。
そして自分の屋敷に戻ると、拙者はいの一番に、家臣達に声を荒げて告げた。
「地下牢に居る憐を殺せ!鋸挽きの刑に処すのだ!」
・・・
地下牢に入れられてしまうと。今が何時であるのか、どれほどの時間が経ったのか。全く分からなくなり、頭が呆然と壊れ始めてくる。粗末で少量の食べ物しか食べていない事もあって、体も破滅の一途を辿っていた。
死を賜ると言われてから、随分と経った様な気もするけれど。それほど時間も経っていない様な気もするわ。
はぁと息を吐き出し、こつんと壁際に頭をもたらせかけた。体が酷く重たくて、その動作一つでも、気力と体力が大幅に削られていく。
その時だった。
ガチャガチャと地下牢に入ってくる扉がうるさくなり、階段を滑り落ちる様にバタバタと人がやってきた。
私はやってきた大柄の男二人にビクリとしてしまうが、精一杯の虚勢を張り「何用ですか」と告げる。
すると一人が、私の牢の錠を荒々しく開けた。ガチャリと解錠の音が響くと、ギイイと重々しく扉が開かれる。
「出ろ」
殺気に纏われた言葉がぶつけられ、私はその一言で分かってしまった。
ついに私の命の灯火が消される日が来たのだ、と。
まだ雷華様にお会いしていないと言うのに。雷華様への想いを告げる事が、返す事が出来ていないと言うのに。
呆然としていると、一人が痺れを切らして牢に入り、私を無理やり立たせて牢から引っ張り出した。
拙者は歯がみしながら「お任せを、兄者」と苦々しく答えた。
そんな苦々しい言葉に、姿が見えぬ父上と兄者は「これで伊達家も安泰」と言葉を交わし始める。
屈辱じゃ、これ程の屈辱を感じた事はない。麒麟の力で、拙者を当主にすると言っておったくせに。
あやつめ、許せん。約束は反故にされたも同然だ、憐を殺す。そして麒麟も殺し、拙者が伊達家の当主になってみせる。
兄者は真の当主ではない、拙者こそが伊達家の当主に相応しいのだ。拙者は、天下人にも相応しい人間なのだ。
ギチギチと奥歯を噛みしめ続け、燃え盛る怒りと恨みの炎が全身に纏われる。
それだと言うのに、素っ頓狂な父上と兄者は、横で燃え盛る炎に全く気がついていなかった。
そして自分の屋敷に戻ると、拙者はいの一番に、家臣達に声を荒げて告げた。
「地下牢に居る憐を殺せ!鋸挽きの刑に処すのだ!」
・・・
地下牢に入れられてしまうと。今が何時であるのか、どれほどの時間が経ったのか。全く分からなくなり、頭が呆然と壊れ始めてくる。粗末で少量の食べ物しか食べていない事もあって、体も破滅の一途を辿っていた。
死を賜ると言われてから、随分と経った様な気もするけれど。それほど時間も経っていない様な気もするわ。
はぁと息を吐き出し、こつんと壁際に頭をもたらせかけた。体が酷く重たくて、その動作一つでも、気力と体力が大幅に削られていく。
その時だった。
ガチャガチャと地下牢に入ってくる扉がうるさくなり、階段を滑り落ちる様にバタバタと人がやってきた。
私はやってきた大柄の男二人にビクリとしてしまうが、精一杯の虚勢を張り「何用ですか」と告げる。
すると一人が、私の牢の錠を荒々しく開けた。ガチャリと解錠の音が響くと、ギイイと重々しく扉が開かれる。
「出ろ」
殺気に纏われた言葉がぶつけられ、私はその一言で分かってしまった。
ついに私の命の灯火が消される日が来たのだ、と。
まだ雷華様にお会いしていないと言うのに。雷華様への想いを告げる事が、返す事が出来ていないと言うのに。
呆然としていると、一人が痺れを切らして牢に入り、私を無理やり立たせて牢から引っ張り出した。