小学校の6年間は地獄だった。
6年の「綺麗な方」と「汚い方」。
どいつもこいつも、おれとあいつを同じ物扱いかよ。

あいつは県内でも有名な私立中学への入学が決まったらしい。知らない間に塾に行って、受験をしてたらしい。
そんな話すらおれの耳には入って来ない。
後になって、結果が決まってから、あいつが言うんだ。

「兄貴、おれもやっぱ公立行く。私立は学費たけーもん。」

腹立たしい。自分なら余裕ってことかよ?
親からの期待一身に受けてるくせに、そんな贅沢許されるかよ。おれをもっと惨めにする気かよ?
親の言うことに逆らうとか、本当有り得ねぇ…。

「兄貴、押し入れから出て来いよ。」

お前に言われたって、出て行くもんか。
絶対、出て行くもんかよ。