睦子がさっさとテーブルに座ってしまったので由梨もその隣に腰を下ろす。
「ほら! 食べてごらんよ」
まず差し出されたのが立派なサザエのつぼ焼きで、由梨は驚いた。礼を言って紙皿と割り箸を受け取ったが、どうしたらいいのかわからない。
「こうやるんだよ」
やたらとテンションの高い男性社員が菜箸を蓋の隙間にねじ込んでくるっと回し、中身を引っ張り出してくれる。
「全部食べれるんだよ」
だけどさすがに黒い肝の部分を食べる勇気がない。固まっていると「無理しなくていいよ」と苦笑いされた。
その後も次から次へとサザエを持ってこられた。どうにも売れないものは黙々と食べている由梨たちの前に持ってこられるようになったみたいだ。お肉が目当てで来たものの、イカ焼きや大きな有頭エビも魅力だった。
「これ僕が釣ってきたんだ」
小柄な社員さんにアピール付きで渡されたのは小振りのアユで、サザエの肝が食べれなかった負い目があったから、思い切って頭から食べた。みんなにびっくりされた。
結局魚介でお腹がいっぱいになってしまった。なかなか贅沢なバーベキューだ。来て良かったと思った。
お茶を飲んで満足してよくよく見れば、いつの間にか小田と睦子がいない。広場を見渡して見ると皆それぞれまったりモードになっているようだった。
そんな中、鉄板奉行に名指しされた係長がやきそば作りを始めたようだ。
「あの人、町内のお祭りで毎年やきそば係だって」
残っていた白井が教えてくれる。感心して見ていると、ここまでソースの香りが漂ってきた。
「それ。若者はまだ食えるだろ」
山盛りの紙皿を押しつけられる。
「頂きます」
白井とふたりで再び黙々とやきそばを食べる。このご時世に豪快にキャベツが入っているのが嬉しい。
「……こないだのキャベツ使い切った?」
不意に質問されて焦ったが、口の中のものを呑み込んでから由梨は答える。
「とっくだよ。まさかまだ残ってるの?」
「半分はすぐラーメンに入れて食ったけど、半分はシナシナになっちまって」
「捨てちゃった?」
「またラーメンに入れて食った。今度は玉子も入れて」
「お腹壊さなかった?」
「今んとこ大丈夫だな」
「ほら! 食べてごらんよ」
まず差し出されたのが立派なサザエのつぼ焼きで、由梨は驚いた。礼を言って紙皿と割り箸を受け取ったが、どうしたらいいのかわからない。
「こうやるんだよ」
やたらとテンションの高い男性社員が菜箸を蓋の隙間にねじ込んでくるっと回し、中身を引っ張り出してくれる。
「全部食べれるんだよ」
だけどさすがに黒い肝の部分を食べる勇気がない。固まっていると「無理しなくていいよ」と苦笑いされた。
その後も次から次へとサザエを持ってこられた。どうにも売れないものは黙々と食べている由梨たちの前に持ってこられるようになったみたいだ。お肉が目当てで来たものの、イカ焼きや大きな有頭エビも魅力だった。
「これ僕が釣ってきたんだ」
小柄な社員さんにアピール付きで渡されたのは小振りのアユで、サザエの肝が食べれなかった負い目があったから、思い切って頭から食べた。みんなにびっくりされた。
結局魚介でお腹がいっぱいになってしまった。なかなか贅沢なバーベキューだ。来て良かったと思った。
お茶を飲んで満足してよくよく見れば、いつの間にか小田と睦子がいない。広場を見渡して見ると皆それぞれまったりモードになっているようだった。
そんな中、鉄板奉行に名指しされた係長がやきそば作りを始めたようだ。
「あの人、町内のお祭りで毎年やきそば係だって」
残っていた白井が教えてくれる。感心して見ていると、ここまでソースの香りが漂ってきた。
「それ。若者はまだ食えるだろ」
山盛りの紙皿を押しつけられる。
「頂きます」
白井とふたりで再び黙々とやきそばを食べる。このご時世に豪快にキャベツが入っているのが嬉しい。
「……こないだのキャベツ使い切った?」
不意に質問されて焦ったが、口の中のものを呑み込んでから由梨は答える。
「とっくだよ。まさかまだ残ってるの?」
「半分はすぐラーメンに入れて食ったけど、半分はシナシナになっちまって」
「捨てちゃった?」
「またラーメンに入れて食った。今度は玉子も入れて」
「お腹壊さなかった?」
「今んとこ大丈夫だな」