向かいに座る白井をまるで面接官のようにじろじろ見まわして、美紀は心の中で鼻に皺を寄せる。あからさまに値踏みする美紀の視線に冷や汗をかいている白井の隣で、由梨はにこにことイチゴパフェを食べている。

「それでね、白井くんのお母さんの唐揚げがすごくおいしかったの」
「ふ、ううーん」
 家族そろって由梨の胃袋をつかむとは。やるじゃあないか。
「コーヒーお代わりしてくるね」
 通路側に座っていた由梨がすっと立ち上がっていってしまうと、白井はいっそう委縮して視線を伏せる。

 こうして面と向かって顔を合わせるのは今日が初めてだが、由梨と出かけた帰りに白井の部屋まで由梨を送ってあげたり、美紀との待ち合わせ場所に白井が由梨を送ってくることもあったので、遠目にいつも会釈くらいはしていた。その度にいつも美紀はついついガンを飛ばしてしまっていたから、白井は彼女の敵意に感づいていたようだ。

「初詣行ったんだって?」
「は、はい」
 くそ。毎年一緒に初詣に行くのが美紀と由梨の恒例行事だったのに。ますます視線を剣呑にした美紀だったけど、戻ってきた由梨はまったく気づく様子もない。

「ごめんね。先に行っちゃって。でも二回行ってもいいかなって思って。明日何時にする?」
「え?」
「え?」
「あんたまた行くの?」
「美紀ちゃんとまだ行ってないもん。昨日はいつものジャガバタ食べなかったし」
「そうだよね、いつものジャガバタだよね」
 いつもの、を強調して美紀は顔を明るくする。
「美紀ちゃんとあれを食べなきゃ、新年て感じがしないよ」
 可愛いヤツめ。余裕を取り戻した美紀は、鷹揚に白井に視線を向ける。

「あたしが由梨を取っちゃっていいの? デートは?」
「白井くんは明日フットサルだもんね」
 白井より先に由梨が答える。途端に再び、美紀は眉を上げてしまう。確かに、白井が友人に誘われて最近フットサルチームに入ったことは小耳に挟んでいた。

「ふうん。練習?」
「は、はい……」
「チームって何人いるの?」
「今は八人しか。それとマネージャーが二人と……」
 は? と美紀はさらに眉を吊り上げる。
「マネージャーってまさか女の子?」
「そうっすけど」