「あと一週間、か」

 ひい、ふう、みい、と指折りに数えてちょうど一週間。一週間後の日曜日に、地球は滅亡するそう。
 ナンタラの予言とかじゃない。本当に滅亡する。詳しい話はあまりよく分からないが、ブラックホールに地球は飲み込まれる。
 確かに、日に日に穴はこちら側へ迫ってきている。これは逃れられないのだとテレビに出ていた専門家が言っていた。


「逃れられないってむかつくなあ」


 片足を空へ向かって蹴りあげる。
 こんなにも平和で、こんなにものどかな田舎で生まれ育った私。いつか東京へ出てやるなんてちょっとだけ思っていた。
 名前は山本出雲。どこにでもある苗字はいつか結婚相手が変えてくれると信じていた。

 似合う服を着るために調べた骨格ナチュラルという体型はお世辞にも豊満とは言えない。けれどもう少し大人になれば見栄えも良くなるはず。
 顔は……あまり、可愛くない。白い肌に色素の薄い唇、まつ毛だけは長くて自慢だが普通サイズの目。でも、大人になればきっともう少し可憐になる。
 つまり、大人になれると信じていたし、大人に夢を見ていた。酷く、深い夢を。