詩は驚くほどにクラスのみんなに溶け込むのが早くて特に同じクラスの女子たちは詩と楽しそうに会話をしていた。
既に“恋バナ”までする仲になったらしく、特に橋本さんと仲良くなったようだ。
 詩とは正反対に見える橋本さんと仲良くなるとは想定外だ。

 そして、手伝いに来て二日目は男子たちとも仲良く会話をしているのを何度か見た。
 出来るだけ一緒にいたいのだが、詩が俺との関係を恋人だと言ってしまったから流石に常に二人でいるのは恥ずかしい。周囲だってカップルがいちゃついていたら嫌だろう。(いちゃつくことはしていないが、どういう言動がそうみられるのか不明だから俺なりに気を遣っていた)

 ハラハラドキドキと言えば聞こえがいいかもしれないが、詩が消えてしまうリスクを伴った三日間は何とか終わりを迎えた。
最後の日のみ、俺は行灯の最終作業を手伝った。正直、関わり合いたくないし手伝ってとも言われていないからそのままやり過ごそうとした。
 でも詩と逃げないと約束をした。どうせ無視されても詩が傍にいてくれたらそれで十分だと思った。すると意外にも周囲は普通に手伝わせてくれた。詩のあのセリフが強烈だったからもしれない。

 改めて俺は彼女に感謝していた。
三日目の学際準備が終わり、詩と二人で自宅へ向かっていた。

「終わっちゃったなぁ。一瞬だった、友達沢山出来たのに」
「詩って想像以上に社交的だよね。驚いた、橋本さんなんか詩には結構心開いている感じあったし、男子とも仲良く喋ってたよね」
「そう?そう言ってもらえると嬉しいな」
「あんなに面と向かって文句言った後にそのあと普通に話せるって尊敬するよ」

 俺のいる前で男子に説教をしたのにも関らず、その男子たちともその後普通に話して誰とも壁を作らずに友達になれるのだから感心する。
俺と同い年で精神年齢は実年齢よりも低い言動が多いのに、ここぞというときには自分を貫き通す芯の強さを見せる。
 詩の横顔はどことなく寂しそうだ。流星祭が終わったらその翌日に彼女は消えてしまう。
詩もそれがわかっているから、せっかく作った友人とすぐに別れなければいけないことを悲しんでいるのだろう。