「初めてじゃない?二人で写真撮るの」
「そうかも」
「うふふ、恋人みたーい」
白い歯を見せておちゃらける。札幌時計台の中にも入れるようで(しかも高校生は無料)詩と俺は軽く館内も見て回ることにした。札幌時計台では写真を撮ってそれで終わりのイメージだったがしっかり観光できるのだと初めてしった。知ったところで一人だったら絶対に館内に入ろうとはしないけど。
「でもこの後円山動物園に行くんだよね?」
「そう。日帰りだからそれなりに急がないと」
軽く館内を見てから俺たちは直ぐに地下鉄に乗った。函館には地下鉄はないから新鮮だった。都会に来たのだというワクワク感と“よそ者”として見慣れていないか様々な感情が入り混じる。
南北線と東西線を乗り継ぎ三十分弱で円山動物園に到着した。平日だったからか想定よりも人は多くはないように思った。入場料を支払い、既に飛びはねるほど喜んでいる詩と一緒に動物園館内に入る。詩は一番ホッキョクグマが見たいそうだ。
「蒼君は好きなの?動物園」
「うーん、普通」
「じゃあ好きじゃないってことかぁ。付き合ってもらっちゃってごめんね」
そうじゃないと返答する前に詩の視線は完全にパンフレットに向いている。
俺の受け答えでだいたいのことがわかるのは嬉しいような嫌なような。
最初にカンガルーなどがいるスペースを見た。お土産が売っているショップを通り過ぎるとカンガルーが現れ詩の目が更に大きく開かれる。そのうち目玉が飛び出るのではと心配になるほどだ。
詩が動物たちに夢中になっている間、彼女に気が付かれないように写真を撮った。
そのせいで後ろ姿とか横顔しか撮れていないが素直に喜んでいる姿が可愛いから残しておきたくなる。
俺は動物を撮る振りをしながら詩の写真を撮る。彼女はどうしても俺と一緒に写真に写りたいようで観光客に声を掛けてお互いに写真を撮り合う。
ライオンやカバなどがいるスペースでは詩の声色が先ほどまでとは変わる。
カバに関しては可愛いらしいのだが、ライオンは「ひぃ」と恐怖の目で見ていた。
「ライオンだってネコ科なんだから可愛いじゃん」
「でもちょっと圧があるよね。ほら、もしもあの檻の中に入ってしまったら食べられちゃうし」
「そんな機会なんか絶対ないから大丈夫だよ。ちなみに野生のライオンのオスは生き残るのきついんだよ。ハードモード」
「え…そうなの?」
「そうそう。雄ってハーレムで雌のライオン連れて歩いているイメージしかなかったけど違うらしい」
「餌とかも雌が調達するんだよね」
「そう、だから一見雄がめちゃくちゃ楽してるって思ってたけど、全然違う」
と、俺は何となく知っていた野生の雄ライオンの“プライド”を守るための話をした。
すると詩は眉を顰め、「生まれ変わったら…ライオンの雄以外がいい」と陳腐な発言をする。
しばらく様々な動物を見て回り、せっかくだからと軽めの昼食を円山動物園内でとることになった。レストランは家族だけではなく若い人も多く夏休み期間は学生が多いなと思った。動物園館内のレストランということもあり、可愛らしい見た目をしたプレートなどがある。
「そうかも」
「うふふ、恋人みたーい」
白い歯を見せておちゃらける。札幌時計台の中にも入れるようで(しかも高校生は無料)詩と俺は軽く館内も見て回ることにした。札幌時計台では写真を撮ってそれで終わりのイメージだったがしっかり観光できるのだと初めてしった。知ったところで一人だったら絶対に館内に入ろうとはしないけど。
「でもこの後円山動物園に行くんだよね?」
「そう。日帰りだからそれなりに急がないと」
軽く館内を見てから俺たちは直ぐに地下鉄に乗った。函館には地下鉄はないから新鮮だった。都会に来たのだというワクワク感と“よそ者”として見慣れていないか様々な感情が入り混じる。
南北線と東西線を乗り継ぎ三十分弱で円山動物園に到着した。平日だったからか想定よりも人は多くはないように思った。入場料を支払い、既に飛びはねるほど喜んでいる詩と一緒に動物園館内に入る。詩は一番ホッキョクグマが見たいそうだ。
「蒼君は好きなの?動物園」
「うーん、普通」
「じゃあ好きじゃないってことかぁ。付き合ってもらっちゃってごめんね」
そうじゃないと返答する前に詩の視線は完全にパンフレットに向いている。
俺の受け答えでだいたいのことがわかるのは嬉しいような嫌なような。
最初にカンガルーなどがいるスペースを見た。お土産が売っているショップを通り過ぎるとカンガルーが現れ詩の目が更に大きく開かれる。そのうち目玉が飛び出るのではと心配になるほどだ。
詩が動物たちに夢中になっている間、彼女に気が付かれないように写真を撮った。
そのせいで後ろ姿とか横顔しか撮れていないが素直に喜んでいる姿が可愛いから残しておきたくなる。
俺は動物を撮る振りをしながら詩の写真を撮る。彼女はどうしても俺と一緒に写真に写りたいようで観光客に声を掛けてお互いに写真を撮り合う。
ライオンやカバなどがいるスペースでは詩の声色が先ほどまでとは変わる。
カバに関しては可愛いらしいのだが、ライオンは「ひぃ」と恐怖の目で見ていた。
「ライオンだってネコ科なんだから可愛いじゃん」
「でもちょっと圧があるよね。ほら、もしもあの檻の中に入ってしまったら食べられちゃうし」
「そんな機会なんか絶対ないから大丈夫だよ。ちなみに野生のライオンのオスは生き残るのきついんだよ。ハードモード」
「え…そうなの?」
「そうそう。雄ってハーレムで雌のライオン連れて歩いているイメージしかなかったけど違うらしい」
「餌とかも雌が調達するんだよね」
「そう、だから一見雄がめちゃくちゃ楽してるって思ってたけど、全然違う」
と、俺は何となく知っていた野生の雄ライオンの“プライド”を守るための話をした。
すると詩は眉を顰め、「生まれ変わったら…ライオンの雄以外がいい」と陳腐な発言をする。
しばらく様々な動物を見て回り、せっかくだからと軽めの昼食を円山動物園内でとることになった。レストランは家族だけではなく若い人も多く夏休み期間は学生が多いなと思った。動物園館内のレストランということもあり、可愛らしい見た目をしたプレートなどがある。