でも詩は執拗に食い下がって続けた。
「良くないよ!それってやっぱり嫌なこと言う人がいるってことでしょ?!決めた、私絶対学校に行く」
「無理だって。不法侵入で警察呼ばれるぞ」
「あ!ほら、学際の準備って夏休み終わってから本格的に行われるんだよね?土日もやるんだよね。だったら私土日に学校行っちゃおうかな。先生とかいないでしょ?」
「…部活動の先生はいるだろ」
「バレなきゃ大丈夫じゃない?」
「……」
「私、こう見えて裁縫得意なんだ。蒼君のクラスのお手伝いさせてよ」
「…無理だって。そもそも人多いんだからお前に触れる機会なんて沢山あるだろ。どうすんの?触れられたら」
「それはその時だよ。だって、その時はどの道…私に残された時間は数日でしょ?夏休みが終わったらあと一週間弱だもん私が消えるまでの時間は」
「だからだろ。残された時間が僅かだからこそ、それを大切にすべきだって」
「それは違うよ。私は蒼君のお陰でやり残したことのほとんどを叶えてもらった。だから蒼君のために何か一つでも残したいなって」
「そんなのは…っ、もう貰ってる」
俺からすれば詩との時間がかけがえのないプレゼントだ。何か残したいと言っているが、もう十分残してもらっている。
せめて、残りの時間を大切にしてほしい。それでも、頑固な詩に何を言っても無駄なのは短期間とはいえ一緒にいた俺だからこそ知っている。
声を荒げる俺とは対照的に詩はのんびりとした口調で言った。
「じゃあ、私のやり残したことの一つ叶えてくれる?」
「…狡い奴」
「私の為だと思って。お願い!私だって学際行きたいもん」
「善処する」
やったね、と言った詩はまた窓の外に目を向けた。
札幌駅に到着すると、うたた寝して寝ぼけ顔をしていた詩の顔もすぐにしゃきっとしてテンションが高くなる。
人混みを出来るだけ避けながら駅の改札を抜ける。早速詩が写真を撮ってほしいといった。
俺はいいよと短い返事をして駅前で詩の写真を撮った。
「蒼君も撮ってあげるよ」
「いいよ」
すかさずそれを拒否してまずは札幌駅から徒歩十分ほどにある時計台に向かう。
「時計台って私見たことなかったと思う」
「俺はあるけど別に感動はないよなぁ」
有名だとは思うが意外と時計台の規模は小さく、他県から観光で来ると「これが時計台?」と首を傾げるらしい。
「良くないよ!それってやっぱり嫌なこと言う人がいるってことでしょ?!決めた、私絶対学校に行く」
「無理だって。不法侵入で警察呼ばれるぞ」
「あ!ほら、学際の準備って夏休み終わってから本格的に行われるんだよね?土日もやるんだよね。だったら私土日に学校行っちゃおうかな。先生とかいないでしょ?」
「…部活動の先生はいるだろ」
「バレなきゃ大丈夫じゃない?」
「……」
「私、こう見えて裁縫得意なんだ。蒼君のクラスのお手伝いさせてよ」
「…無理だって。そもそも人多いんだからお前に触れる機会なんて沢山あるだろ。どうすんの?触れられたら」
「それはその時だよ。だって、その時はどの道…私に残された時間は数日でしょ?夏休みが終わったらあと一週間弱だもん私が消えるまでの時間は」
「だからだろ。残された時間が僅かだからこそ、それを大切にすべきだって」
「それは違うよ。私は蒼君のお陰でやり残したことのほとんどを叶えてもらった。だから蒼君のために何か一つでも残したいなって」
「そんなのは…っ、もう貰ってる」
俺からすれば詩との時間がかけがえのないプレゼントだ。何か残したいと言っているが、もう十分残してもらっている。
せめて、残りの時間を大切にしてほしい。それでも、頑固な詩に何を言っても無駄なのは短期間とはいえ一緒にいた俺だからこそ知っている。
声を荒げる俺とは対照的に詩はのんびりとした口調で言った。
「じゃあ、私のやり残したことの一つ叶えてくれる?」
「…狡い奴」
「私の為だと思って。お願い!私だって学際行きたいもん」
「善処する」
やったね、と言った詩はまた窓の外に目を向けた。
札幌駅に到着すると、うたた寝して寝ぼけ顔をしていた詩の顔もすぐにしゃきっとしてテンションが高くなる。
人混みを出来るだけ避けながら駅の改札を抜ける。早速詩が写真を撮ってほしいといった。
俺はいいよと短い返事をして駅前で詩の写真を撮った。
「蒼君も撮ってあげるよ」
「いいよ」
すかさずそれを拒否してまずは札幌駅から徒歩十分ほどにある時計台に向かう。
「時計台って私見たことなかったと思う」
「俺はあるけど別に感動はないよなぁ」
有名だとは思うが意外と時計台の規模は小さく、他県から観光で来ると「これが時計台?」と首を傾げるらしい。